【2026年4月から義務化】ストレスチェックとは?|制度の基本と2026年改正のポイント

「ストレスチェック」という言葉を聞いたことはあるけれど、具体的に何をする制度なのか、自分の職場にどう関係するのか、よくわからない――そんな方は少なくありません。ストレスチェックとは、労働者の心理的な負担の程度を把握するために法律で定められた検査制度です。2015年の義務化以来、多くの職場で実施されてきましたが、2026年の法改正により対象がさらに拡大されます。
立ち仕事が中心の製造業や小売業、医療・介護の現場では、身体的な負担だけでなく精神的なストレスも大きな課題です。制度の基本を正しく理解することは、働く人の健康を守る第一歩といえるでしょう。
本記事では、ストレスチェック制度の定義から実施の流れ、2026年改正のポイントまでを、初めての方にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ストレスチェック制度の定義と法的根拠
- 実施義務の対象と実施頻度
- ストレスチェックの具体的な実施フロー
- 使用される質問票の種類と評価の仕組み
- 2026年改正で変わるポイント(50人未満事業場への義務化拡大)
ストレスチェックとは|制度の定義と目的
ストレスチェックとは、労働者が自分のストレスの状態を把握するために行う、自記式の質問票による検査のことです。
この制度は、労働安全衛生法(安衛法)第66条の10に基づいて2015年12月に施行されました。正式には「心理的な負担の程度を把握するための検査」と呼ばれ、メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)を主な目的としています(厚生労働省, 2015)。
制度が生まれた背景
ストレスチェック制度が導入された背景には、職場におけるメンタルヘルス問題の深刻化があります。厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活に関することで強い不安やストレスを感じている労働者の割合は、制度導入前の時点で約6割にのぼっていました。精神障害による労災認定件数も年々増加傾向にあり、職場のメンタルヘルス対策は社会的な課題となっていました。
こうした状況を受け、2014年6月に労働安全衛生法が改正され、事業者にストレスチェックの実施を義務づける規定が新設されました。翌2015年12月の施行以降、対象となる事業場では毎年のストレスチェックが法的義務となっています。
制度の3つの目的
ストレスチェック制度には、大きく分けて以下の3つの目的があります。
- 労働者自身のセルフケア促進: 検査結果を通じて自分のストレス状態に気づき、必要に応じてセルフケアや相談行動につなげる
- 高ストレス者への早期対応: 高ストレスと判定された労働者に対し、医師による面接指導を実施してメンタルヘルス不調を未然に防ぐ
- 職場環境の改善: 集団分析の結果を活用して、職場全体のストレス要因を特定し、働きやすい環境づくりにつなげる
特に注目すべきは、この制度が「不調になった人を見つけて治療する」(二次予防・三次予防)ではなく、「不調になる前に予防する」(一次予防)に重点を置いている点です。
ストレスチェックの実施義務と対象
誰が実施しなければならないのか
現行法において、ストレスチェックの実施義務が課されているのは常時50人以上の労働者を使用する事業場です。ここでいう「事業場」とは、会社全体ではなく、本社・支店・工場など場所ごとの単位を指します。つまり、会社全体で100人の従業員がいても、各事業場が30人ずつであれば、現行法上は実施義務の対象外となります。
実施頻度は年1回以上と定められており、具体的な実施時期は事業者が定めることができます。
対象となる労働者
ストレスチェックの対象者は、原則として常時使用する労働者全員です。ただし、以下の条件をいずれも満たすパートタイム労働者等は対象外とすることができます。
- 期間の定めのない労働契約により使用される者、または1年以上使用されることが見込まれる者
- 1週間の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であること
なお、派遣労働者については、派遣元事業者が実施義務を負います。
実施者の要件
ストレスチェックは、誰でも実施できるわけではありません。法令で定められた実施者は、以下の資格を有する者に限られます。
- 医師
- 保健師
- 厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師
実施者は、ストレスチェックの企画や結果の評価に専門的な見地から関与する役割を担います。なお、人事権を持つ監督者はストレスチェックの実施事務に従事できないことが定められており、これは後述するプライバシー保護の観点から重要な規定です。
ストレスチェックの実施フロー
ストレスチェック制度は、以下の流れで実施されます。制度全体の流れを把握しておくことで、各段階で何をすべきかが明確になります。
ステップ1:質問票の配布と回答
事業者は、実施者の指示のもと、労働者に質問票を配布します。労働者は質問項目に回答し、実施者(またはその補助を行う実施事務従事者)に提出します。回答は紙媒体でもオンラインでも実施可能です。
ステップ2:ストレスの評価と結果通知
実施者が回答を集計・分析し、個人のストレスの程度を評価します。結果は労働者本人に直接通知されます。この際、本人の同意なく事業者に結果を提供することは法律で禁止されています。これは制度の根幹をなすプライバシー保護の仕組みです。
ステップ3:高ストレス者への面接指導
ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された労働者が面接指導を希望した場合、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。面接指導の申出は、結果通知後おおむね1か月以内に行うこととされています。
高ストレス者の判定基準は、厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」に示された方法を参考に、各事業場の衛生委員会等で審議のうえ決定します。一般的には、以下の2つの基準が用いられます。
- 心身のストレス反応の評価点が高い者
- 心身のストレス反応の評価点が一定以上で、かつ仕事のストレス要因の評価点が高い者または周囲のサポートの評価点が低い者
ステップ4:医師の意見聴取と就業上の措置
面接指導を実施した医師から意見を聴取し、必要に応じて就業上の措置(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等)を講じます。このとき、事業者は面接指導の申出を理由とした不利益な取扱いをしてはならないことが法律で明確に定められています。
ステップ5:集団分析と職場環境改善
ストレスチェックの結果を、部署やグループ単位で集計・分析する「集団分析」も制度の重要な要素です。現行法では努力義務の位置づけですが、職場環境の改善に有効なツールとして、厚生労働省も積極的な活用を推奨しています(厚生労働省, 2015)。
集団分析では、「仕事の量的負担」「仕事のコントロール」「上司・同僚の支援」などの指標について、全国平均や自社平均と比較することで、特定の部署や職場に偏在するストレス要因を可視化できます。立ち仕事が多い製造現場や店舗では、身体的負担とメンタルストレスの相関を把握するうえでも有用です。
質問票の種類と評価の仕組み
職業性ストレス簡易調査票
ストレスチェックで使用する調査票は法律で一つに限定されているわけではありませんが、国が推奨しているのが「職業性ストレス簡易調査票」です。この調査票には主に2つのバージョンがあります。
- 57項目版(標準版): 最も広く使用されている調査票。「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3領域を測定する
- 23項目版(簡略版): 57項目版を簡略化したもの。実施の負担を軽減できるため、小規模事業場での使用が想定されている
いずれの調査票も、厚生労働省のウェブサイトから無料でダウンロードできます。
3つの評価領域
ストレスチェックでは、以下の3つの領域を評価します。
| 評価領域 | 内容 | 質問例(57項目版) |
|---|---|---|
| 仕事のストレス要因 | 職場環境や業務内容に起因するストレス | 「非常にたくさんの仕事をしなければならない」 |
| 心身のストレス反応 | ストレスによる心身の症状 | 「ひどく疲れた」「不安だ」「よく眠れない」 |
| 周囲のサポート | 上司・同僚・家族からの支援の程度 | 「上司はどのくらい気軽に話ができますか」 |
この3領域の組み合わせによって、単にストレスを感じているかどうかだけでなく、その原因と緩和要因までを総合的に把握できる仕組みになっています。
プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
ストレスチェック制度において、プライバシー保護は最も重要な原則の一つです。制度が機能するためには、労働者が安心して正直に回答できる環境が不可欠だからです。
プライバシー保護の具体的な仕組み
- 結果は本人に直接通知: 実施者から労働者本人に直接結果が通知される。事業者が先に結果を把握することはできない
- 本人同意なく事業者への提供は禁止: 労働者本人が同意しない限り、事業者はストレスチェックの結果を知ることができない
- 人事権を持つ者の関与制限: 人事権を有する監督者は、ストレスチェックの実施事務に従事できない
- 結果の保存義務: 実施者(または実施者の指名する実施事務従事者)が、結果の記録を5年間保存する
不利益取扱いの禁止
労働安全衛生法では、以下の行為を明確に禁止しています。
- ストレスチェックを受けないことを理由とした不利益な取扱い
- 面接指導の申出を理由とした不利益な取扱い(解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等)
- ストレスチェックの結果を理由とした不利益な取扱い
これらの規定は、労働者が安心して制度を利用できるようにするための安全装置です。事業者はこの趣旨を十分に理解し、社内に周知することが求められます。
2026年改正で変わるポイント|50人未満への義務化拡大
改正の概要
2025年5月に成立した改正労働安全衛生法により、ストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも拡大されることが決まりました。これまで「努力義務」にとどまっていた小規模事業場も、今後は法的な実施義務を負うことになります。
施行時期は公布の日から3年以内に政令で定める日とされており、最長で2028年5月頃までに施行される見通しです。
なぜ50人未満にも拡大されるのか
厚生労働省の調査によると、50人以上の事業場のストレスチェック実施率が84.7%であるのに対し、50人未満の事業場では32.3%にとどまっています(厚生労働省, 2024)。50人未満の事業場は日本の全事業場の約9割を占めており、そこで働く労働者のメンタルヘルス対策に大きな空白が生じていました。
立ち仕事が中心の小規模な製造工場、小売店舗、飲食店、美容室などでは、少人数であるがゆえに一人ひとりへの業務負荷が大きくなりやすく、メンタルヘルスの課題が潜在化しやすい傾向があります。義務化の拡大は、こうした事業場の労働者を守るための重要な一歩です。
小規模事業場への配慮措置
改正にあたっては、小規模事業場の負担を軽減するための配慮措置も検討されています。
- 簡略版(23項目版)調査票の活用: 57項目版に比べて実施の負担が小さい
- 外部機関への委託: 地域産業保健センター(さんぽセンター)等の無料相談サービスの活用
- 集団分析の取扱い: 少人数の事業場では個人が特定されるリスクがあるため、柔軟な運用が検討されている
関連する用語・概念
- 労働安全衛生法(安衛法): 労働者の安全と健康を確保するための基本法。ストレスチェック制度の法的根拠
- メンタルヘルス対策: 一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見・対応)、三次予防(復職支援)の3段階で構成される。ストレスチェックは主に一次予防に位置づけられる
- 職業性ストレスモデル: 仕事の要求度と裁量度(コントロール)、社会的支援の組み合わせでストレスを理解する理論的枠組み。ストレスチェックの評価項目の基盤となっている
- 衛生委員会: 50人以上の事業場に設置が義務づけられた委員会。ストレスチェック制度の実施体制や運用ルールを審議する場
まとめ
ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐために、2015年に義務化された検査制度です。労働安全衛生法第66条の10に基づき、50人以上の事業場に年1回以上の実施が義務づけられています。
制度の流れは、質問票への回答、結果の本人通知、高ストレス者への面接指導、そして集団分析による職場環境改善という段階で構成されています。プライバシー保護と不利益取扱いの禁止という2つの原則が、制度の信頼性を支えています。
そして2026年改正により、この制度は50人未満の事業場にも義務化が拡大されます。立ち仕事をはじめとする現場仕事の従事者にとって、身体的な負担の軽減とあわせてメンタルヘルスの管理がますます重要になる時代です。まだストレスチェックを実施していない事業場は、改正の施行に先立ち、早めの準備を始めることが推奨されます。
よくある質問
Q: ストレスチェックの結果は会社に知られますか?
A: いいえ、ストレスチェックの結果は実施者から本人に直接通知され、本人の同意がなければ事業者に提供されることはありません。これは労働安全衛生法で明確に定められたプライバシー保護の仕組みです。
Q: ストレスチェックを受けなくても問題ありませんか?
A: 労働者にはストレスチェックを受ける義務はなく、受検しないことを理由に不利益な取扱いを受けることも禁止されています。ただし、自身のストレス状態を把握する貴重な機会ですので、できる限り受検することが推奨されます。
Q: 高ストレスと判定されたらどうなりますか?
A: 高ストレスと判定されただけで直ちに何かが起こるわけではありません。結果は本人にのみ通知され、面接指導を受けるかどうかは本人の希望に委ねられます。面接指導を申し出た場合、事業者は医師による面接指導を実施し、必要に応じて就業上の配慮を行います。面接指導の申出を理由とした不利益取扱いは法律で禁止されています。
参考文献
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」, 2015年(最終改訂2021年2月). https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/
- 厚生労働省, 「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」, 2019年. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04950.html
- 厚生労働省, 「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」, 2024年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50.html
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法等の一部を改正する法律の概要」, 2025年. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/
- 労働安全衛生法 第66条の10(心理的な負担の程度を把握するための検査等). https://elaws.e-gov.go.jp/

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