【完全比較】化学物質リスクアセスメント支援ツール|CREATE-SIMPLE・コントロールバンディング・ECETOC TRAなど

化学物質のリスクアセスメント支援ツール、どれを使えばよいか迷っていませんか? 2024年4月以降、リスクアセスメント対象物質を取り扱うすべての事業場でリスクアセスメントが義務化され、2026年4月には対象物質が約2,900種へ拡大されます。しかし、厚生労働省が提供するCREATE-SIMPLEやコントロールバンディングなど、複数のツール・手法があり、「自社にはどれが適しているのか」と判断に迷う担当者は少なくありません。
本記事では、代表的なリスクアセスメント支援ツール・手法を比較表付きでわかりやすく整理し、事業場の規模や状況に応じた選び方を解説します。
注: 本記事は2025年8月時点の情報に基づいています。法令・ガイドラインの最新情報は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
この記事でわかること
- 化学物質リスクアセスメントの代表的な手法(CREATE-SIMPLE、コントロールバンディング、ECETOC TRA、実測法)の特徴
- 各手法の精度・費用・専門知識の必要度・適用範囲の比較
- 事業場の規模や化学物質の種類に応じたツールの選び方
- 厚労省「ケミサポ」サイトの活用方法
- ツール選定から実施までの具体的な判断フロー
リスクアセスメント支援ツール比較一覧
まず、代表的な4つの手法を一覧で比較します。どのツールも化学物質のばく露リスクを評価するためのものですが、精度・コスト・必要な専門知識が異なります。
| 比較項目 | CREATE-SIMPLE | コントロールバンディング | ECETOC TRA | 実測法 |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | 厚生労働省(日本) | ILO(国際労働機関) | ECETOC(欧州) | ― |
| 評価方法 | 数理モデルによるばく露推定 | リスクレベルの分類(バンド分け) | 数理モデルによるばく露推定 | 作業環境測定・個人ばく露測定 |
| 精度 | ★★★☆☆(中程度) | ★★☆☆☆(簡易) | ★★★☆☆(中程度) | ★★★★★(高い) |
| 費用 | 無料 | 無料 | 無料(ツール自体) | 高い(測定機器・外部委託費) |
| 専門知識 | やや必要 | 少なくてよい | 必要(英語・EU規制の知識) | 高度に必要 |
| 所要時間 | 30分〜1時間/物質 | 15〜30分/物質 | 30分〜1時間/物質 | 数日〜数週間 |
| 日本語対応 | あり | あり | なし(英語) | ― |
| 適した事業場 | 中小〜大規模 | 小規模〜中規模 | REACH対応が必要な事業場 | 精密な評価が必要な大規模事業場 |
この比較表を踏まえ、各手法の詳細を解説します。
CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)
概要と特徴
CREATE-SIMPLEは、厚生労働省が開発・推奨する化学物質のリスクアセスメント支援ツールです。正式名称は「Chemical Risk Easy Assessment Tool Extensive-SIMPLE」で、数理モデルを用いて作業者のばく露濃度を推定し、リスクレベルを判定します。
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」から無料でアクセスでき、日本の法制度に最も適合した設計となっている点が最大の強みです。SDS(安全データシート)に記載された情報と作業条件を入力することで、ばく露濃度の推定値とリスクレベル(リスクI〜IV)が算出されます。
使い方の流れ
CREATE-SIMPLEでのリスクアセスメントは、以下の手順で行います。
- SDSの情報を準備する: 対象化学物質のGHS分類、ばく露限界値(濃度基準値・許容濃度・TLV等)を確認する
- 作業条件を入力する: 取扱量、含有率、換気条件、作業時間、作業頻度などを選択・入力する
- ばく露濃度の推定値を確認する: ツールが数理モデルに基づいて推定ばく露濃度を算出する
- リスクレベルを判定する: ばく露限界値と推定濃度の比較により、リスクI(低)〜IV(高)が表示される
- 必要なリスク低減措置を検討する: リスクレベルに応じた対策を実施する
適用場面
- 日本国内の事業場で幅広く活用可能:法改正で義務化されたリスクアセスメントへの対応として最も標準的な選択肢
- 濃度基準値が設定されている物質の評価に特に適している
- 厚生労働省が「まずはこのツールを使ってみてください」と推奨している
メリット
- 日本の法制度・濃度基準値に最適化されている
- 無料で利用でき、日本語で操作できる
- SDS情報があれば、専門的な測定機器なしでリスク評価ができる
- 「ケミサポ」サイトと連携し、対象物質の情報を参照しやすい
デメリット・注意点
- 推定値は実測値と乖離する可能性がある(特殊な作業条件の場合)
- すべての化学物質に対応しているわけではない
- 混合物の評価は成分ごとに個別に行う必要がある
コントロールバンディング
概要と特徴
コントロールバンディングは、ILO(国際労働機関)が開発した化学物質のリスク管理手法です。化学物質の有害性と取扱い条件から、リスクを4段階のバンド(帯域)に分類し、各バンドに対応する管理措置を示す仕組みです。
最大の特徴は、高度な専門知識がなくてもリスクの概要を把握できる簡便さにあります。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」でも日本語版が公開されており、SDSに記載されたGHS分類の情報と取扱量・作業条件を入力するだけで、推奨される管理措置のレベルが提示されます。
使い方の流れ
- GHS分類を確認する: SDSから対象物質の有害性分類(健康有害性)を確認する
- 取扱い条件を入力する: 取扱量(少量・中量・大量)と飛散性・揮発性のレベルを選択する
- 管理措置のバンドが出力される: バンド1(一般的な換気)〜バンド4(専門家への相談)の4段階で管理措置が示される
- 示された管理措置を実行する: バンドに対応した具体的な対策を実施する
適用場面
- 小規模事業場や、化学物質管理の専門人材が限られる事業場に特に適している
- はじめてリスクアセスメントに取り組む際のファーストステップとして有効
- 多数の化学物質を短時間でスクリーニングしたい場合
メリット
- 操作が簡単で、専門知識が少なくても利用できる
- 1物質あたりの評価時間が短く、多数の物質を効率的に処理できる
- ILOが国際的に推奨しており、信頼性がある
デメリット・注意点
- リスクの精密な定量評価には向かない(あくまでバンド分けによる概括的な評価)
- ばく露濃度の数値が算出されないため、濃度基準値との比較ができない
- 厚生労働省は「CREATE-SIMPLEのほうがより詳細な評価が可能」としている
- 混合物や特殊な作業条件への対応が限定的
ECETOC TRA(欧州のばく露推定ツール)
概要と特徴
ECETOC TRA(ECETOC Targeted Risk Assessment)は、ECETOC(欧州化学物質生態毒性・毒性センター)が開発したばく露推定ツールです。もともと欧州のREACH規則(化学品の登録・評価・認可・制限に関する規則)に基づく化学物質安全性評価のために設計されました。
数理モデルを用いてばく露濃度を推定する点ではCREATE-SIMPLEと類似していますが、EU規制への対応を前提とした設計である点が異なります。
適用場面
- REACH規則への対応が必要な事業場(欧州に化学物質を輸出する企業)
- 国際的な化学物質安全性評価を行う必要がある場合
- 日本国内のみの事業場では、通常CREATE-SIMPLEで十分対応できる
メリット
- REACH規則の化学物質安全性評価に広く利用されている
- Tier 1(簡易評価)として国際的に認知度が高い
- 作業者ばく露と環境放出の両方を推定できる
デメリット・注意点
- 英語のみの提供であり、EU規制の知識が前提となる
- 日本の濃度基準値やGHS分類体系とは異なる基準を使用している
- 日本国内のリスクアセスメント義務への直接的な対応としては推奨されない
実測法(作業環境測定・個人ばく露測定)
概要と特徴
実測法は、作業環境中の化学物質濃度を実際に測定する方法です。大きく分けて、作業場所の空気中濃度を測る作業環境測定(A測定・B測定)と、作業者が実際にばく露される濃度を測る個人ばく露測定があります。
推定ではなく実際の測定値に基づく評価であるため、すべての手法のなかで最も精度が高い方法です。ただし、測定機器の購入・レンタル費用や作業環境測定士への外部委託費用が発生するため、コストは大きくなります。
適用場面
- 推定ツールでリスクが高いと判定された物質の精密評価
- 特定化学物質障害予防規則・有機溶剤中毒予防規則で作業環境測定が義務付けられている場合
- 濃度基準値が設定されている物質で、ばく露状況を正確に把握したい場合
- 推定ツールでは対応できない特殊な作業条件がある場合
メリット
- 最も精度の高いリスク評価が可能
- 実際のばく露状況を客観的なデータで示せる
- 労働基準監督署への報告や労働安全衛生マネジメントシステムの根拠資料として信頼性が高い
デメリット・注意点
- 費用が高い(外部委託の場合、1物質あたり数万円〜数十万円)
- 専門知識が必要(作業環境測定士の資格、測定計画の策定等)
- 測定に時間がかかる(準備〜結果報告まで数日〜数週間)
- 測定時の作業条件が通常と異なると、結果が実態を反映しない可能性がある
手法の選び方|事業場の状況別フロー
リスクアセスメント手法の選択は、事業場の規模、取り扱う化学物質の種類、求められる精度によって異なります。以下の判断フローを参考にしてください。
小規模事業場(従業員50人未満)の場合
小規模事業場では、化学物質管理の専門人材が限られるケースが多いです。まずはコントロールバンディングで対象物質のリスクレベルを大まかに把握し、リスクが高いと判定された物質についてはCREATE-SIMPLEでより詳細に評価する段階的アプローチが効率的です。
厚生労働省も、小規模事業場にはまず簡易なツールから始めることを推奨しています。
中規模〜大規模事業場の場合
化学物質管理者が選任されている中規模以上の事業場では、CREATE-SIMPLEを標準ツールとして活用することが推奨されます。取り扱い物質が多い場合は、コントロールバンディングで一次スクリーニングを行い、CREATE-SIMPLEで詳細評価、必要に応じて実測法で精密評価という三段階アプローチが合理的です。
REACH対応が必要な事業場の場合
欧州向けに化学物質を輸出している事業場では、REACH規則の化学物質安全性評価としてECETOC TRAを使用する必要があります。ただし、日本国内の労働安全衛生法に基づくリスクアセスメントには別途CREATE-SIMPLE等での評価も求められるため、国内向けと海外向けで二重に対応する必要がある点に注意が必要です。
判断のポイント
手法選びで迷ったときは、以下の3つを基準にしてください。
- 法的要件: 作業環境測定が法令で義務付けられている場合は実測法が必須
- 物質の有害性: 濃度基準値が低い(有害性が高い)物質ほど精密な評価が望ましい
- コストと人的リソース: 予算と専門人材の有無に応じて現実的な手法を選ぶ
厚労省「ケミサポ」の活用
手法の選択やリスクアセスメントの実施にあたって、厚生労働省の「職場における化学物質管理についてのケミサポ(ケミカルサポート)」サイトは欠かせない情報源です。
「ケミサポ」では、以下の情報やツールにアクセスできます。
- CREATE-SIMPLEおよびコントロールバンディングのオンラインツール
- リスクアセスメント対象物質の検索機能:CAS番号や物質名から対象物質かどうかを確認できる
- 濃度基準値一覧: 約700物質の濃度基準値を検索・確認できる
- SDS情報の参照: GHS分類やばく露限界値の情報を確認できる
- 化学物質管理に関するマニュアル・ガイドブック: リスクアセスメントの実施手順を解説した各種資料
リスクアセスメントに初めて取り組む事業場は、まず「ケミサポ」サイトにアクセスし、自社が取り扱う化学物質の情報を確認するところから始めるとよいでしょう。
まとめ
化学物質のリスクアセスメントには複数の支援ツール・手法がありますが、それぞれに得意分野と限界があります。重要なのは、自社の状況に合った手法を選び、確実に実施することです。
- コントロールバンディング: 簡便・迅速。初めてのリスクアセスメントや一次スクリーニングに最適
- CREATE-SIMPLE: 厚労省推奨の標準ツール。日本の法制度に最適化されており、多くの事業場に適する
- ECETOC TRA: REACH規則対応に必要。日本国内のみの事業場では通常不要
- 実測法: 最も精度が高いが、コスト・専門知識のハードルも高い。精密評価が必要な場合に使用
2026年4月のリスクアセスメント対象物質の約2,900種への拡大に向けて、まだ体制が整っていない事業場は早めの準備が求められます。まずは厚労省の「ケミサポ」サイトにアクセスし、CREATE-SIMPLEやコントロールバンディングの活用から始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q: CREATE-SIMPLEとコントロールバンディング、どちらを先に使うべきですか?
A: 化学物質管理の経験が少ない場合は、操作が簡単なコントロールバンディングから始めるとよいでしょう。リスクが高いと判定された物質について、CREATE-SIMPLEで詳細に評価する段階的なアプローチが効率的です。ただし、厚生労働省はCREATE-SIMPLEを標準的なツールとして推奨しており、SDSの読み方に慣れている方は最初からCREATE-SIMPLEを使うことも可能です。
Q: 推定ツールで「リスクが低い」と出たら、それだけで十分ですか?
A: 推定ツールの結果は、入力条件に基づく推定値です。作業条件が変わればリスクも変わるため、定期的な見直しが必要です。また、作業条件の変更時(化学物質の種類・量の変更、設備の変更等)には再度リスクアセスメントを実施する必要があります。推定値に不安がある場合は、実測法による確認も検討してください。
Q: コントロールバンディングだけでリスクアセスメント義務を果たせますか?
A: 法的にはコントロールバンディングもリスクアセスメントの手法として認められています。ただし、濃度基準値が設定されている物質については、ばく露濃度の推定値を算出できるCREATE-SIMPLEのほうが、濃度基準値との比較による評価ができるためより適切とされています。
参考文献
- 厚生労働省, 「職場における化学物質管理についてのケミサポ」, https://chemicalsupport.mhlw.go.jp/, 閲覧日: 2025年8月
- 厚生労働省, 「CREATE-SIMPLEによるリスクアセスメント実施マニュアル」, https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm, 閲覧日: 2025年8月
- 厚生労働省, 「GHSに基づくコントロール・バンディング」, https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc08.htm, 閲覧日: 2025年8月
- ILO, “Chemical Control Toolkit (Control Banding)”, International Labour Organization, https://www.ilo.org/safework/info/public/en/index.htm, 閲覧日: 2025年8月
- ECETOC, “ECETOC TRA – Targeted Risk Assessment”, https://www.ecetoc.org/tools/tra-targeted-risk-assessment/, 閲覧日: 2025年8月
- 厚生労働省, 「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」, 2024年
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法第57条の3に基づくリスクアセスメントの実施について」, 2024年

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