【2026年安衛法改正が直撃】物流・倉庫における2024年問題と4大安全衛生リスクを完全解説

【2026年安衛法改正が直撃】物流・倉庫における2024年問題と4大安全衛生リスクを完全解説 | 立ち仕事のミカタ | アルケリス株式会社

物流・倉庫業で働く方にとって、安全衛生の問題は日々の業務に直結する重要なテーマです。フォークリフト事故、腰痛、熱中症――こうしたリスクを感じながら働いていませんか?さらに2024年4月に始まった時間外労働の上限規制(いわゆる「2024年問題」)による人手不足が、現場の安全リスクを高めているとの指摘もあります。そして2026年には労働安全衛生法(安衛法)の改正が控えており、物流・倉庫業の安全衛生対策は大きな転換期を迎えています。

本記事では、物流・倉庫業界が抱える安全衛生上の課題を整理し、2024年問題との関係、2026年安衛法改正のポイント、そして現場で実践できる具体的な対策まで、包括的に解説します。

この記事でわかること

  • 物流・倉庫業における4大安全衛生リスク(フォークリフト事故・腰痛・転倒墜落・熱中症)の実態
  • 2024年問題(時間外労働上限規制)が安全衛生に及ぼす影響とその構造
  • 2026年安衛法改正の物流業界への具体的な影響ポイント
  • ピッキング・仕分け作業における立ち仕事の負担と軽減策
  • 自動化・ロボット活用による安全性向上の最新動向

物流・倉庫業における安全衛生リスクの現状

厚生労働省の「労働災害発生状況」によると、陸上貨物運送事業における労働災害は毎年高い水準で推移しています。2023年の同業種における死傷者数(休業4日以上)は約16,000人を超え、全産業の中でも上位に位置しています。物流・倉庫の現場には、他の業種にはない複合的なリスク要因が存在します。

フォークリフト事故

フォークリフトは物流・倉庫業に欠かせない車両ですが、毎年重大な事故が発生しています。厚生労働省の統計では、フォークリフトによる労働災害の死亡者数は年間約20〜30人で推移しており、「はさまれ・巻き込まれ」や「激突され」が主な事故類型です。倉庫内での歩行者との接触、荷崩れによる下敷き、後退時の巻き込みなどが典型的な事故パターンとして報告されています。

特に問題なのは、作業動線の交錯です。限られた倉庫スペースの中でフォークリフトと作業者が同じ通路を共有する環境では、一瞬の不注意が重大事故につながります。

腰痛

物流・倉庫業は、腰痛の発生率が極めて高い業種です。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」(2013年改訂)でも、重量物取扱い作業が腰痛リスクの主要因として挙げられています。荷物の持ち上げ・運搬・積み下ろしという動作の繰り返しは、腰椎への負荷を蓄積させます。

国際的にも、物流業における筋骨格系障害(MSDs: Musculoskeletal Disorders)は深刻な課題です。欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA)の報告では、運輸・倉庫業従事者のMSDs有症率は全業種平均を大きく上回ることが示されています。

転倒・墜落

倉庫内での転倒・墜落事故も無視できません。厚生労働省の統計では、陸上貨物運送事業における「墜落・転落」と「転倒」は、死傷災害の上位を占める事故類型です。トラック荷台からの墜落、倉庫内の段差での転倒、濡れた床面でのスリップなどが頻発しています。

特に高所作業(ラック上段への荷物の出し入れ等)では、適切な墜落防止措置が不可欠です。2022年1月からはフルハーネス型安全帯の使用が義務化された高所作業もあり、倉庫業務においても安全装備の見直しが求められています。

熱中症

倉庫は空調管理が困難な環境であることが多く、夏季の熱中症リスクは年々深刻化しています。環境省・厚生労働省の「熱中症予防情報」によると、職場における熱中症による死亡者のうち、建設業に次いで物流・運送業は常に上位に位置しています。

WBGT(暑さ指数: Wet Bulb Globe Temperature)の管理が推奨されていますが、大型倉庫では局所的な温度差が大きく、作業場所によってリスクが異なるため、きめ細かなモニタリングが必要です。

2024年問題が安全衛生に与える影響

2024年問題とは

2024年4月、改正労働基準法の猶予期間が終了し、自動車運転業務にも時間外労働の上限規制(年間960時間)が適用されました。これがいわゆる「2024年問題」です。物流業界では、ドライバーの労働時間が制限されることで、輸送能力の不足が大きな課題となっています。

人手不足と安全リスクの悪循環

2024年問題の本質は、単なる労働時間の問題にとどまりません。国土交通省の試算では、2030年には物流需要の約35%が運べなくなる可能性が指摘されています。この人手不足は、倉庫内作業者にも波及しています。

人手不足 → 一人あたりの作業量増大 → 過重労働 → 疲労蓄積 → 安全リスク増大

この悪循環は、現場レベルで確実に進行しています。全日本トラック協会の調査でも、ドライバー不足を補うために倉庫側の荷役作業が増加し、倉庫作業者の負担が増しているとの報告があります。

荷待ち時間の問題

物流の2024年問題では、荷待ち時間(トラックドライバーが荷物の積み下ろしを待つ時間)も注目されています。荷待ち時間の削減のために倉庫側に迅速な作業が求められる結果、倉庫作業者が急かされて安全確認を怠るケースが懸念されています。2024年6月に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の改正(物流効率化法)でも、荷主の協力義務が強化されましたが、現場レベルでの安全確保との両立が課題です。

2026年安衛法改正が物流業界にもたらす変化

2025年に成立した労働安全衛生法の改正(2026年施行予定)は、物流・倉庫業界に対しても大きな影響を及ぼします。主な改正ポイントを整理します。

高齢労働者への安全配慮義務の強化

物流・倉庫業では、人手不足を背景に高齢労働者の雇用が増加しています。厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(通称:エイジフレンドリーガイドライン)に加え、2026年改正では高齢者に対する安全配慮義務が法的に強化される見通しです。

具体的には、以下のような対応が求められます。

  • 体力・健康状態に応じた作業配置の実施
  • 転倒防止のための職場環境の整備(床面の滑り止め、照明の改善、段差の解消等)
  • 重量物取扱い基準の見直し(年齢・体力に応じた重量制限の設定)

倉庫内のピッキング・仕分け作業に従事する高齢労働者にとって、この改正は作業環境の改善に直結する重要な変化です。

ストレスチェック制度の拡充

2026年改正では、ストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも拡大される方向です。物流・倉庫業界には中小規模の事業場が多く、これまでストレスチェックの対象外だった事業場も新たに対応が必要になります。

物流業界では、納期のプレッシャー、不規則な勤務時間、身体的負荷といったストレス要因が複合的に存在します。メンタルヘルス不調は注意力の低下を招き、労働災害のリスクを高めるため、早期発見・早期対応の仕組みを整備することが重要です。

個人事業者(フリーランス)の保護

物流業界では、個人事業主として働くドライバーや、業務委託で倉庫作業に従事する労働者が少なくありません。2026年改正では、個人事業者等に対しても安全衛生上の保護措置を講じる義務が発注者側に課されます。

これにより、委託先の個人事業者が倉庫内で作業する場合にも、発注元の企業は安全衛生教育の実施や保護具の提供について責任を負うことになります。

倉庫内の立ち仕事がもたらす身体負担

ピッキング・仕分け作業の特性

倉庫内のピッキング(商品の取り出し)や仕分け作業は、典型的な長時間の立ち仕事です。EC(電子商取引)の拡大に伴い、多品種・小ロットの注文処理が増加し、作業者は1日に数千回の「歩く→かがむ→持ち上げる→運ぶ」という動作を繰り返します。

この作業の特徴は以下の通りです。

  • 長時間の立位姿勢: 1シフトあたり8〜12時間の立ち仕事が一般的
  • 反復動作: 同じ動作の繰り返しによる筋骨格系への負荷蓄積
  • 中腰・前屈姿勢: 下段ラックからのピッキング時に腰部へ大きな負荷がかかる
  • 歩行距離の長さ: 大型倉庫では1日に10km以上歩くケースも報告されている

立ち仕事による健康影響

長時間の立位作業は、下肢の静脈還流を悪化させ、足のむくみ、下肢静脈瘤、腰痛、足底筋膜炎などのリスクを高めることが研究で示されています。Watersらの研究(2011)によると、長時間の立位作業は下肢の筋疲労だけでなく、心血管系への負荷も増大させる可能性があると報告されています。

倉庫作業者はこうした立ち仕事の負担に加え、重量物の取り扱いが加わるため、複合的な身体負荷にさらされています。

負担軽減のための対策

倉庫内の立ち仕事による負担を軽減するには、以下の対策が有効です。

  • 疲労軽減マットの導入: 長時間立位する作業ステーションに設置し、足底への衝撃を緩和する
  • 作業台の高さ調整: 作業者の身長に合わせた適切な高さに設定し、前屈姿勢を防ぐ
  • 適切な休憩の確保: 1時間ごとに短時間の休憩を取り、座位と立位を交互にする
  • 適切な靴の選定: クッション性と安定性を兼ね備えた安全靴の使用
  • 補助器具の活用: パワーアシストスーツやアシストウェアの導入による腰部負荷の軽減

自動化・ロボット活用による安全性向上

物流自動化の最新動向

物流・倉庫業界では、人手不足と安全性の両方の課題を解決する手段として、自動化・ロボット技術の導入が加速しています。経済産業省の「ロボット新戦略」でも、物流分野はロボット導入の重点分野に位置づけられています。

主な自動化技術は以下の通りです。

技術概要安全衛生上のメリット
AGV/AMR(自動搬送ロボット)倉庫内の搬送を自動化重量物の人力搬送を削減し、腰痛リスクを低減
ロボットアームパレタイジング・デパレタイジングの自動化反復的な重量物持ち上げ作業からの解放
ソーター(自動仕分け機)仕分け作業の自動化立ち仕事の時間短縮、反復動作の削減
ウェアラブルデバイス作業者の生体情報モニタリング熱中症・過労の早期検知
パワーアシストスーツ腰部・上肢の動作を補助筋骨格系障害リスクの低減

人とロボットの協働における安全管理

自動化を進める一方で、人とロボットが協働する環境での新たな安全リスクにも注意が必要です。AGVとの接触事故、ロボットの誤作動による巻き込みなど、新しいタイプの労働災害が報告されるケースも出てきています。

厚生労働省は「産業用ロボットの安全衛生に関するガイドライン」を定めており、協働ロボットの導入に際してはリスクアセスメントの実施が求められます。自動化の推進は安全衛生の向上に大きく貢献しますが、導入計画の段階から安全管理を組み込むことが不可欠です。

職場改善チェックリスト

物流・倉庫業の安全衛生管理者が活用できるチェックリストを以下にまとめました。

フォークリフト安全管理

  • [ ] フォークリフトと歩行者の動線は分離されているか
  • [ ] 作業開始前点検を毎日実施しているか
  • [ ] 運転資格者以外の運転を防止する管理体制があるか

腰痛・筋骨格系障害予防

  • [ ] 重量物の取扱い基準(重量制限)を設定・周知しているか
  • [ ] 作業台の高さは作業者に適切か
  • [ ] 腰痛予防体操や教育を定期的に実施しているか

転倒・墜落防止

  • [ ] 倉庫内の床面は清掃され、滑り止め措置が施されているか
  • [ ] 高所作業用の適切な安全帯・安全装備を配備しているか
  • [ ] 段差や障害物への表示・注意喚起がなされているか

熱中症対策

  • [ ] WBGT測定器を設置し、定期的にモニタリングしているか
  • [ ] 休憩場所と飲料水を十分に確保しているか
  • [ ] 緊急時の対応手順を作業者に周知しているか

2026年改正対応

  • [ ] 高齢労働者の体力・健康状態に応じた作業配置を実施しているか
  • [ ] ストレスチェックの実施体制を整備しているか(50人未満の事業場を含む)
  • [ ] 個人事業者への安全衛生教育・保護具提供の体制があるか

まとめ

物流・倉庫業の安全衛生対策は、従来からのフォークリフト事故、腰痛、転倒・墜落、熱中症といった課題に加え、2024年問題による人手不足がもたらす安全リスクの増大、そして2026年安衛法改正への対応という、複合的な課題に直面しています。

特に重要なのは、これらの課題が相互に関連しているという点です。人手不足は一人あたりの作業負荷を増大させ、それが腰痛や疲労を招き、さらに労働災害のリスクを高めます。こうした悪循環を断ち切るためには、法令対応にとどまらない、包括的な安全衛生マネジメントが求められます。

自動化・ロボット技術の活用、作業環境の人間工学的改善、そして一人ひとりの作業者の健康状態に配慮した管理体制の構築を、今から計画的に進めていくことが、物流・倉庫業界の持続可能な成長を支える基盤となるでしょう。

よくある質問

Q: 2024年問題は倉庫作業者にどのような影響がありますか?

A: ドライバーの労働時間制限により輸送能力が低下すると、荷待ち時間の短縮要求や出荷スケジュールの変更が発生し、倉庫作業者への時間的プレッシャーが増大します。また、人手不足の影響で一人あたりの作業量が増加し、疲労蓄積による安全リスクの上昇が懸念されています。

Q: 2026年安衛法改正で物流・倉庫業が特に注意すべきポイントは何ですか?

A: 物流・倉庫業では、高齢労働者への安全配慮義務の強化、50人未満事業場へのストレスチェック拡大、個人事業者保護の3点が特に影響が大きいとされています。中小規模の事業場が多い業界特性から、ストレスチェックの新規実施体制の構築が喫緊の課題です。

Q: 倉庫内のピッキング作業で腰痛を予防するにはどうすればよいですか?

A: 作業台の高さ調整、重量物の取扱い基準の設定、適切な休憩の確保が基本です。加えて、パワーアシストスーツなどの補助器具の活用や、ピッキングロボットの導入による作業負荷の軽減も効果的です。作業前後のストレッチや腰痛予防体操の実施も推奨されています。

参考文献

  1. 厚生労働省, 「令和5年 労働災害発生状況」, 2024. https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/
  2. 厚生労働省, 「職場における腰痛予防対策指針」, 2013年改訂. https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4.html
  3. 厚生労働省, 「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」, 2020. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index00006.html
  4. 国土交通省, 「物流の2024年問題について」, 2023. https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000129.html
  5. EU-OSHA, “Musculoskeletal disorders in the transport and warehousing sector,” 2022. https://osha.europa.eu/en/themes/musculoskeletal-disorders
  6. Waters, T. R., & Dick, R. B., “Evidence of health risks associated with prolonged standing at work and intervention effectiveness,” Rehabilitation Nursing, 40(3), 148-165, 2015. DOI: 10.1002/rnj.166
  7. 経済産業省, 「ロボット新戦略」, 2015. https://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150123004/20150123004.html
  8. 厚生労働省, 「産業用ロボットに係る労働安全衛生規則の一部改正について」, 2013. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/robot.html
  9. 環境省・厚生労働省, 「熱中症予防情報サイト」, 2024. https://www.wbgt.env.go.jp/
  10. 全日本トラック協会, 「トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン」, 2024. https://jta.or.jp/

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立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする前立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする様子

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立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

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負荷軽減の検証データ

実証実験において、スタビハーフによる体重分散効果が示されました。

立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

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