米国ジョージア州の物流倉庫作業における労働安全対策 筋骨格系障害のリスクと改善策

アメリカ国立労働安全衛生研究所が調査 物流倉庫作業における筋骨格系障害のリスクと改善案 立ち仕事のミカタ

はじめに

ジョージア州のある物流施設において、労働安全衛生管理者からの依頼を受け、米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が労働者の筋骨格系障害(MSD: Musculoskeletal Disorders)のリスク評価を実施しました。本調査では、倉庫作業員の職務環境を詳細に分析し、リスク要因の特定と作業環境の改善提案を行っています。本記事では、その主要な調査結果と推奨事項を紹介し、労働安全衛生担当者に向けた実践的な対策を解説します。


調査の概要

調査対象の物流施設では、約492名の従業員が、ピッキング、梱包、保管、積み下ろしなどの作業を行っています。調査は、**5つの建物(351, 376, 380, 385, 641)**における作業環境を対象とし、作業員へのインタビューや現場観察を通じて、以下のポイントに焦点を当てました。

  • 作業姿勢と動作の評価
  • 作業台や椅子、マットなどの設備環境
  • 作業員の健康状態(筋骨格系障害の症状)
  • 過去の労働災害記録の分析

調査結果:倉庫作業のリスク

1. 作業環境の問題点

調査の結果、多くの作業場で人間工学的な配慮が不十分であり、作業員の負担が大きいことが分かりました。

非調整型の作業台が多数
 → 作業台の高さが固定されており、作業員の身長や作業内容に適した調整ができない。

防疲マットや適切な椅子の不足
 → 長時間の立ち仕事により、腰痛や足の痛みを訴える作業員が多数

過度な持ち上げ作業
 → 重量35ポンド(約16kg)以上の物体を持ち上げる作業が多く、特に背中や肩の負担が大きい

反復動作と無理な姿勢
 → 腰をかがめる動作や、手を伸ばして物を取る動作が頻発し、MSDリスクを増加させる。

2. 作業員の健康への影響

調査では43名の作業員にインタビューを行い、そのうち15名(35%)が仕事に関連する痛みを訴えていました。特に多かった症状は以下の通りです。

痛みの部位報告者数(割合)
背中7名(16%)
5名(12%)
4名(9%)
4名(9%)
手首3名(7%)

具体的な対策と推奨事項

労働安全衛生管理者が実施すべき改善策として、以下の対策が推奨されています。

1. 作業環境の改善

  • 作業台の調整可能な高さを確保
    • 立ち作業:38~47インチ(約96~119cm)
    • 座り作業:27~36インチ(約69~91cm)
  • 防疲マットの導入
    • 厚さ0.5インチ(約1.3cm)以上のマットを敷き、足腰の負担を軽減
  • 適切な椅子の配置
    • 高さ調整が可能な椅子を導入し、適切な作業姿勢をサポート。

2. 荷物の取り扱い方法の最適化

  • 重い物は下部に配置し、持ち上げる負担を減少
  • 二人で持ち上げる作業を推奨し、個人の負担を軽減。
  • リフト装置の活用(例:吸盤リフト、油圧式リフトテーブル)。

3. 作業員の健康管理と教育

  • エルゴノミクス研修の実施
    • 適切な持ち上げ動作や姿勢を学ぶことで、MSDリスクを軽減。
  • 作業員のフィードバックを活用
    • 定期的なアンケート調査を実施し、作業環境改善に活かす。
  • 作業のローテーションを導入
    • 同じ動作の繰り返しを防ぎ、特定の筋肉への負担を分散。

図表の解説

本調査では、複数の現場写真とデータ分析結果が掲載されています。その中でも重要な図表を紹介します。

1. 倉庫の作業環境(図B2)

倉庫の作業環境


解説:図B2は、作業員が倉庫で立ったまま小型の荷物を処理する作業台を示しています。多くの作業台が高さ調整できず、また防疲マットが敷かれていないため、長時間作業による負担が大きい。

2. 非効率な作業フロー(図B4)

非効率な作業フロー

解説:使用されていないコンベアが作業エリアに存在し、作業員の動線を妨げている。このようなレイアウトの見直しも、作業効率の向上と負担軽減につながる。


まとめ:労働安全衛生担当者が取るべきアクション

本調査から、物流倉庫の作業環境には多くのエルゴノミクス上の課題があることが明らかになりました。労働安全衛生管理者は、次のような行動を取ることで、作業員の安全と健康を守ることができます。

作業環境の改善(調整可能な作業台、防疲マットの導入)
重い物の持ち上げを減らす工夫(リフトの活用、荷物の配置見直し)
作業員の健康管理と教育(エルゴノミクス研修、作業ローテーション)
定期的なモニタリングとフィードバックの収集

安全で快適な作業環境を整えることは、従業員の健康維持だけでなく、作業効率や企業の生産性向上にもつながります。今こそ、労働安全のための取り組みを強化しましょう!

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