疲れ方が全然違う!身長に合った作業台・シンクの高さの計算法とは【最新研究を徹底解説】

疲れ方が全然違う!身長に合った作業台・シンクの高さの計算法とは【最新研究を徹底解説】 - 立ち仕事のミカタ
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「高さ」が快適性を決める鍵

立ち作業をしていて「腰が痛い」「肩がこる」と感じたことはありませんか?その原因のひとつに、作業台やシンクの“高さ”が合っていないことがあるかもしれません。今回紹介するのは、キッチンでの作業における最適な台の高さについて、実験的に調べた興味深い研究です。

家庭での調理や洗い物を想定した実験ですが、製造業やサービス業など、長時間の立ち仕事を伴う職場にも十分応用できる内容です。「なんとなくこの高さが合わない」と感じている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。

立ち作業をしていて「腰が痛い」「肩がこる」と感じたことはありませんか?その原因のひとつに、作業台やシンクの“高さ”が合っていないことがあるかもしれません。

研究の概要:どんな実験を行ったのか?

この研究は、九州産業大学の研究チームによって行われました。目的は、使いやすい調理台と、負担の少ないシンクの高さを科学的に導き出すこと。これまでにも「身長÷2+5cm」といった簡易的な目安はありましたが、本研究ではより多くの被験者(40名)を対象に、可変式の装置を使って詳細に評価しています。

実験では、被験者が実際に野菜を切ったり皿を洗ったりしながら、15段階に調整された台と19段階のシンク底の高さに対して「作業のしやすさ」や「身体的な負担感」を評価しました。評価方法は心理学でも用いられる「マグニチュード推定法(ME法)」という方法を採用し、どの高さが一番快適だったかを数値で示すようにしました。

導かれた最適な高さ:身長から計算できます

この研究の成果として、身長に基づいた「最も快適な高さ」が数式として示されました。

  • 調理台の最適高さ(mm)= 0.488 × 身長(cm)+ 6.392
  • シンク底の負担が少ない高さ(mm)= 0.509 × 身長(cm)- 15.199

たとえば、身長165cmの人の場合:

  • 調理台の最適高さ:約807mm
  • シンク底の最適高さ:約819mm
  • この差はおよそ180〜185mmで、実際に使われている浅型シンクの深さ(200mm前後)と近いこともわかりました。

つまり、現在流通しているシンクや調理台の設計は、ある程度理にかなっていたということですね。

なぜこの研究が重要なのか?

これまで使われていた算定式は、数名の被験者や特定の身長層(150〜160cm程度)を対象としたものが多く、現代の多様な体格を反映していないという課題がありました。本研究では、166cm以上の高身長者も多く含まれており、「背が高い人にとっての快適さ」についても初めて詳しく検証されたのです。

また、同じ身長でも、最適な高さにはある程度の“幅”があることも示されました。つまり、「1人にとって快適な高さ」が、他の人には負担になる可能性もあるということ。こうした結果は、作業環境を「ひとりひとりに合わせて設計する」必要性を示しています。

調整式の台やシンクの導入は大きな効果をもたらします。

図表でみる:研究データの可視化

図1:調理台高さと身長の関係

この図では、研究で導かれた回帰直線(赤線)が、過去の研究やメーカー推奨値(点線など)とどの位置関係にあるかを示しています。中央に位置しており、信頼性のある値であることが視覚的に理解できます。

調理台高さと身長の関係 出典:吉村祐樹・小泉隆「キッチンにおける作業のしやすい調理台高さおよび身体的負荷の少ないシンク底高さに関する主観評価実験」日本建築学会技術報告集 第25巻第61号(2019)

出典:吉村祐樹・小泉隆「キッチンにおける作業のしやすい調理台高さおよび身体的負荷の少ないシンク底高さに関する主観評価実験」日本建築学会技術報告集 第25巻第61号(2019)

図2:シンク底高さと身長の関係

こちらは青線で示されたグラフ。高身長の人ほど、やや浅めのシンク底が望ましいという傾向が読み取れます。

シンク底高さと身長の関係 出典:吉村祐樹・小泉隆「キッチンにおける作業のしやすい調理台高さおよび身体的負荷の少ないシンク底高さに関する主観評価実験」日本建築学会技術報告集 第25巻第61号(2019)

出典:吉村祐樹・小泉隆「キッチンにおける作業のしやすい調理台高さおよび身体的負荷の少ないシンク底高さに関する主観評価実験」日本建築学会技術報告集 第25巻第61号(2019)

一般家庭や職場への応用

この研究結果は、実は製造現場やサービス業、介護現場など、さまざまな分野に応用できます。例えば:

  • 食品加工業:長時間包丁作業をする作業者にとって、手首や腰への負担軽減が可能に。
  • 介護現場:洗面や調理補助の作業台を調整することで、高齢の作業者の疲労を軽減。
  • レストラン厨房:複数の料理人が共有する作業台を可変式にすることで、誰もが快適に。

また、家庭においても「夫婦で身長が違う」「子どもも料理を手伝う」といった場合、調整式の台やシンクの導入は大きな効果をもたらします。

今後の可能性と提案

この研究はあくまで主観評価(自分で感じた快適さ)に基づいたものであり、今後は筋電図や動作解析といった客観的なデータと組み合わせることで、さらに信頼性の高い指標が得られると期待されています。また、センサーやAI技術を用いて、リアルタイムで「疲れやすい姿勢」を検知し、最適な高さをフィードバックするようなシステムも登場しつつあります。

立ち仕事の多い現場でこそ、「高さ」の最適化は、作業効率と健康維持の両立を可能にするカギになるはずです。

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立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする前立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする様子

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立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

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負荷軽減の検証データ

実証実験において、スタビハーフによる体重分散効果が示されました。

立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

スネ部のロールクッションが体重の一部を優しく支えることで、足裏の荷重が軽減していることがデータから示されました。

スタビハーフの負荷軽減効果検証実験の様子。立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

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