【2027年4月1日施行】個人事業主の安全衛生教育が義務化 | 知っておくべき6つのポイント

フリーランスや個人事業者として立ち仕事に従事する方にとって、「安全衛生教育」は他人事ではなくなりつつあります。2027年4月1日から、個人事業者自身にも安全衛生上の義務が課される改正労働安全衛生法が施行されます。従来、安全衛生教育は雇用される労働者に対して事業者が実施するものでした。しかし、フリーランスの安全衛生教育についても法的な枠組みが整備されることで、働き方にかかわらず安全に仕事ができる社会への転換が進んでいます。
本記事では、2027年施行の改正内容を中心に、個人事業者が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
※本記事は2025年7月時点の情報に基づいています。
この記事でわかること
- 2027年4月施行で個人事業者に課される安全衛生教育の義務の内容
- 対象となる危険有害業務の具体例(高所作業、有機溶剤、酸素欠乏危険作業等)
- 教育をどこで受けられるか(技能講習機関、業界団体等)
- 費用負担の問題と今後の支援策の見通し
- 2026年4月施行の元方事業者義務拡大との関係
フリーランスの安全衛生教育が義務化される背景
従来の安全衛生教育制度の限界
これまで、労働安全衛生法に基づく安全衛生教育は、雇用関係のある労働者を対象に設計されてきました。事業者には、労働者を雇い入れた際の「雇入時教育」(安衛法第59条第1項)や、危険有害業務に従事させる際の「特別教育」(同条第3項)を実施する義務があります。
しかし、フリーランスや一人親方などの個人事業者は「労働者」に該当しないため、これらの教育の対象外でした。厚生労働省の「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」報告書(2023年)では、個人事業者の労働災害が増加傾向にあり、雇用労働者と同じ作業をしていても安全衛生教育を受ける機会がないことが大きな課題として指摘されています。
増加するフリーランスの労働災害
近年、建設業や製造業の現場で個人事業者が被災するケースが後を絶ちません。厚生労働省の調査によると、建設業における一人親方等の死亡災害は、労働者の死亡災害と比較しても無視できない割合を占めています。特に、高所からの墜落・転落や有害物質へのばく露といった重篤な災害は、適切な安全衛生教育を受けていれば防げた可能性があるものも少なくありません。
こうした背景から、働き方の形態にかかわらず、危険有害業務に従事するすべての人が安全衛生教育を受けるべきという考え方が法制度に反映されることになりました。
2027年4月施行の改正内容|個人事業者の義務とは
安全装置のない機械の使用禁止
改正労働安全衛生法では、個人事業者自身に対して、安全装置を備えていない機械等の使用を禁止する規定が設けられます。従来、こうした規定は事業者が労働者を就業させる場合に適用されるものでしたが、2027年4月以降は個人事業者自身も同様の義務を負うことになります。
たとえば、プレス機械の安全囲いや覆いが適切に設置されていない状態での作業、あるいは研削盤の覆いが取り外された状態での使用は、個人事業者であっても認められなくなります。
危険有害業務に関する安全衛生教育の受講義務
最も注目すべき改正点の一つが、個人事業者自身に対する安全衛生教育の受講義務です。具体的には、危険または有害な業務に従事する個人事業者は、その業務に関する安全衛生教育を自ら受ける機会を確保しなければなりません。
改正のポイント: 従来の「事業者が労働者に教育を実施する義務」に加えて、「個人事業者自身が教育を受ける義務」が新たに創設される
これは、雇用労働者に対する特別教育(安衛法第59条第3項)に相当する内容を、個人事業者も自主的に受講すべきとする画期的な制度変更です。
対象となる危険有害業務
個人事業者に安全衛生教育の受講が求められる業務は、雇用労働者に対する特別教育の対象業務に準じるものと想定されています。主な業務には以下のようなものがあります。
| 業務分類 | 具体的な業務例 | 関連する立ち仕事の現場 |
|---|---|---|
| 高所作業 | 足場の組立て・解体、ロープ高所作業 | 建設業、設備工事業 |
| 有機溶剤業務 | 塗装、接着、洗浄作業 | 製造業、自動車整備業 |
| 酸素欠乏危険作業 | タンク内作業、マンホール内作業 | 設備メンテナンス業 |
| 粉じん作業 | 研磨、切断、溶接補助 | 製造業、建設業 |
| 電気取扱い | 低圧・高圧の充電電路の敷設等 | 電気工事業 |
| クレーン等の運転 | 小型クレーン、玉掛け作業 | 物流業、建設業 |
| 特定化学物質の取扱い | 石綿(アスベスト)除去、化学物質の製造・取扱い | 解体業、化学工業 |
これらの業務は、立ち仕事として従事する場面が多いことも特徴です。製造業の加工ラインや建設現場での足場作業など、長時間の立位を伴いながら危険有害因子にさらされる環境で働くフリーランスにとって、安全衛生教育の重要性は非常に高いといえます。
教育はどこで受けられるか
技能講習機関・登録教習機関
安全衛生教育を受講できる場所として最も一般的なのが、都道府県労働局に登録された技能講習機関や登録教習機関です。これらの機関では、フォークリフト運転、玉掛け、足場の組立て等の技能講習や特別教育を実施しています。
個人事業者も、雇用労働者と同様にこれらの機関で受講できます。ただし、従来は事業者が労働者を受講させる形が一般的であったため、個人事業者が個人で申し込む場合の手続きや対応が整備途上である機関もある点に留意が必要です。
業界団体・職種別団体
建設業では(一社)全国建設業協会や各地の建設業協会が、また製造業では各種の業種別団体が安全衛生に関する講習会やセミナーを実施しています。こうした業界団体が提供する教育機会は、業種特有のリスクに対応した内容であることが多く、実務に直結する知識を得られる利点があります。
元方事業者による教育機会の提供
2027年施行に先立ち、2026年4月からは元方事業者(注文者)の義務が拡大されます。具体的には、元方事業者が行う安全衛生教育の対象に、従来の関係請負人の労働者だけでなく、関係請負人である個人事業者自身も含まれるようになります。
つまり、建設現場や製造現場で元請企業の下で作業するフリーランスは、元方事業者が実施する安全衛生教育に参加できる機会が法的に担保されることになります。これは、個人事業者が教育を受ける機会を確保するうえで重要な仕組みです。
2026年4月の元方事業者義務拡大との関係|段階的施行の全体像
今回の改正は、段階的に施行される点がポイントです。
第1段階: 2026年4月1日施行
- 元方事業者の義務拡大: 統括安全衛生管理の対象に個人事業者を含める
- 注文者の配慮義務: 個人事業者の安全衛生に配慮する義務
- 元方事業者による安全衛生教育の実施対象の拡大: 関係請負人である個人事業者も教育の対象に
第2段階: 2027年4月1日施行
- 個人事業者自身の義務: 安全装置のない機械の使用禁止、安全衛生教育の受講義務
- 作業主任者の指示に従う義務: 有機溶剤作業主任者等の指示への遵守
この段階的施行は、まず周囲の支援体制(元方事業者の義務)を整え、その後に個人事業者自身の義務を課すという設計になっています。フリーランスが「教育を受けたくても受けられない」状態にならないよう、環境整備を先行させる合理的なアプローチといえるでしょう。
費用負担の問題と今後の支援策
教育費用は誰が負担するのか
個人事業者にとって最も切実な問題の一つが、安全衛生教育にかかる費用負担です。雇用労働者の場合、安全衛生教育の費用は事業者が負担するのが原則です(昭和47年基発第602号通達)。しかし、個人事業者は自ら費用を捻出しなければなりません。
特別教育の受講費用は、内容によって数千円から数万円程度と幅があります。複数の危険有害業務に従事する場合は、それぞれの教育を受講する必要があり、費用の総額は決して小さくありません。
期待される支援策
費用負担の課題に対しては、以下のような支援策の検討・整備が期待されています。
- 元方事業者による費用負担: 元方事業者が実施する安全衛生教育に個人事業者を含める場合、その費用を元方事業者が負担するケースが想定される
- 業界団体による低廉な教育機会の提供: 業界全体で安全水準を高めるため、団体が安価な講習を企画する動き
- 国・自治体による助成制度: 中小企業や個人事業者向けの安全衛生対策に関する助成金制度の拡充が検討されている
- オンライン教育の活用: 受講のための移動コストや時間的負担を軽減するため、eラーニング等のオンライン形式での教育提供の拡大
厚生労働省は、個人事業者が過度な負担なく教育を受けられる環境の整備を進める方針を示しており、今後の具体的な施策の展開が注目されます。
違反した場合のリスク
2027年4月以降、個人事業者が安全衛生教育を受けずに危険有害業務に従事した場合、労働安全衛生法違反として罰則の対象となる可能性があります。具体的な罰則内容については、今後の政省令で詳細が定められる見込みです。
罰則以外にも、以下のリスクを認識しておく必要があります。
- 元請企業からの現場入場拒否: 適切な教育を受けていない個人事業者は、安全管理上の理由から現場への入場を認められない可能性がある
- 労災保険の特別加入への影響: 安全衛生義務の遵守状況が、特別加入制度の運用に影響を及ぼす可能性がある
- 受注機会の減少: 安全意識の高い発注者は、教育を受けた個人事業者を優先する傾向が強まると考えられる
よくある質問
Q: すでにフリーランスとして長年働いていますが、改めて教育を受ける必要がありますか?
A: はい。2027年4月以降、危険有害業務に従事する個人事業者には安全衛生教育の受講義務が課されます。経験年数にかかわらず、法令で定められた教育を受ける必要があります。ただし、過去に雇用労働者として同等の特別教育を修了している場合は、その修了証が有効となる可能性があります。詳細は今後の政省令で明確化される見込みです。
Q: 教育を受けないとすぐに罰則が適用されますか?
A: 施行直後は周知・啓発の期間として一定の猶予が設けられる可能性がありますが、法令上は施行日以降に義務が発生します。罰則の適用については、悪質なケースから段階的に行われるのが一般的ですが、安全のためにも早めの受講をお勧めします。
Q: 事務作業中心のフリーランスも対象ですか?
A: 安全衛生教育の受講義務の対象は、主に危険有害業務に従事する個人事業者です。デスクワーク中心のフリーランス(ITエンジニア、ライター等)は、特別教育の対象業務に従事しない限り、直接の義務対象にはなりません。ただし、業務内容に危険有害要因が含まれる場合は対象となりえますので、自身の業務内容を確認することが重要です。
まとめ
2027年4月の改正労働安全衛生法の施行により、フリーランスや個人事業者にも安全衛生教育の受講義務が課されます。これは、働き方の多様化に対応し、雇用形態にかかわらず安全に働ける環境を実現するための重要な一歩です。
個人事業者が今から準備すべきことは以下の通りです。
- 自身が従事する業務に危険有害業務が含まれるか確認する
- 2026年4月の元方事業者義務拡大を機に、元請企業が提供する教育機会を活用する
- 技能講習機関や業界団体が実施する教育の情報を収集する
- 費用負担に関する助成制度等の支援策を確認する
立ち仕事のミカタでは、立ち仕事に従事するすべての方の安全と健康を支える情報を発信しています。建設業や製造業の現場で長時間の立位作業を行うフリーランスの方にとって、安全衛生教育は身体的負担の軽減にもつながる重要なテーマです。今後も法改正の動向をお伝えしてまいります。
参考文献
- 厚生労働省, 「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 報告書」, 2023年. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33853.html
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法の一部を改正する法律の概要」(個人事業者等の安全衛生対策関係). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/
- 厚生労働省, 「安全衛生教育について」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei02.html
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第59条(安全衛生教育).
- 厚生労働省労働基準局, 「安全衛生教育の推進について」(基発第602号), 1972年.
- 厚生労働省, 「フリーランスとして安全に働くために」(パンフレット). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/

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