高齢者の腰痛問題を204カ国大規模調査 世界のトレンドとリスク要因とは

高齢者の腰痛問題を204カ国大規模調査 研究論文「Global Burden of Low Back Pain 1990–2021」からの考察 立ち仕事のミカタ

導入

腰痛(Low Back Pain:LBP)は、世界中で多くの人々に影響を与える健康問題です。特に高齢者にとっては、生活の質や行動範囲に大きな影響を及ぼし、長期間の障害を引き起こす主な要因の一つとされています。本記事では、2025年にBMC Musculoskeletal Disordersに掲載された研究「Global, regional, and national burden of low back pain for adults aged 55 and older 1990–2021」の内容を解説し、腰痛の世界的な負担やその変遷、そしてリスク要因について詳しく掘り下げます。


研究概要

本研究では、1990年から2021年までの期間における55歳以上の成人を対象とした腰痛の発生率、罹患率、障害年(Years Lived with Disability:YLDs)を、世界204か国・地域にわたって分析しました。データはGlobal Burden of Disease 2021(GBD 2021)を使用し、地域ごとの傾向や性別による違い、主要なリスク要因を特定しました。


研究結果

1. 世界規模での腰痛の負担

  • 2021年時点で55歳以上のLBP患者は約2億7,168万人
  • 人口標準化発生率(ASR)は10.4%減少(1990年比)
  • 腰痛による障害年(YLDs)は約2,947万人
  • 男女差があり、女性の方が腰痛の発生率が高い
  • 地域ごとに負担の差が大きい

この結果は、腰痛に対する意識向上や医療の進展により、標準化発生率は減少したものの、人口増加や高齢化により絶対数は増加し続けていることを示しています。

1990年から2021年までの55歳以上の腰痛の世界的な傾向
source:
Global, regional, and national burden of low back pain for adults aged 55 and older 1990–2021: an analysis for the global burden of disease study 2021

2. 地域別の腰痛負担

  • 腰痛の最も多い地域
    • 中央ヨーロッパ(Central Europe):29,992.8人/10万人
    • 東ヨーロッパ(Eastern Europe):29,323.7人/10万人
    • オーストララシア(Australasia):29,992.8人/10万人
  • 最も少ない地域
    • アンデス・ラテンアメリカ(Andean Latin America):13,463.6人/10万人
    • カリブ海地域(Caribbean):13,706.0人/10万人
    • 東アジア(East Asia):14,011.2人/10万人

また、中央・東ヨーロッパでは、労働環境や生活習慣が影響し、腰痛のリスクが特に高いことが示されました。

2021年の55歳以上の腰痛の世界地図
source:
Global, regional, and national burden of low back pain for adults aged 55 and older 1990–2021: an analysis for the global burden of disease study 2021

3. 腰痛の主要なリスク要因

研究では、腰痛の主なリスク要因として以下の3つを特定しました。

  1. 職場での不適切な作業姿勢(Occupational ergonomic factors)
    • 東部サハラ以南アフリカでは**38.3%**がこの要因に起因
    • ヨーロッパ地域でも高い割合を示す
  2. 喫煙(Smoking)
    • 中央ヨーロッパでの影響が最も高く17.6%
    • サハラ以南アフリカでは**4.5%**と比較的低い
  3. 高BMI(High Body Mass Index:肥満)
    • 高所得国での影響が大きく、北米では21.9%
    • 南アジアでは**6.2%**と低め

特に職場環境の改善と生活習慣の見直しが、腰痛のリスク低減に重要であることが示唆されました。

腰痛のリスク要因(職場環境・喫煙・肥満)の影響
source:
Global, regional, and national burden of low back pain for adults aged 55 and older 1990–2021: an analysis for the global burden of disease study 2021

考察:今後の対策と提言

本研究は、高齢者の腰痛の世界的な負担の現状とその変遷を明らかにしました。特に以下の点が重要な示唆を与えています。

1. 予防策の強化

  • 職場での人間工学的配慮
    • 立ち仕事をする人向けのエルゴノミック製品の導入
    • 定期的なストレッチや腰痛予防のための運動指導
  • 喫煙対策
    • 健康意識の向上を図る啓発活動
    • 禁煙プログラムの強化
  • 肥満対策
    • 高齢者向けの適切な運動・栄養指導
    • 健康的な体重維持のための政策推進

2. 性別に応じたアプローチ

  • 女性は骨密度の低下やホルモンバランスの変化による腰痛リスクが高いため、特に閉経後のケアが重要
  • 男性は喫煙や肥満が要因になりやすいため、生活習慣の見直しが鍵

3. 地域ごとの対策

  • ヨーロッパ:職場の労働環境改善
  • アジア:運動習慣の普及
  • ラテンアメリカ:医療アクセスの向上

結論

腰痛は単なる加齢現象ではなく、適切な予防策や環境整備によって大幅に負担を減らせる健康問題です。本研究の結果から、特に職場環境の改善、生活習慣の見直し、地域ごとの医療政策の強化が求められます。

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