労働安全衛生担当が知っておきたい 建設・製造・警備業…業種別に見る熱中症リスクと対策【厚生労働省の報告書を完全解説】

労働安全衛生担当が知っておきたい 建設・製造・警備業…業種別に見る熱中症リスクと対策【厚生労働省の報告書を完全解説】 - 立ち仕事のミカタ
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はじめに:なぜ業種別の対策が求められるのか

毎年、夏になると職場における熱中症による労働災害が後を絶ちません。厚生労働省のデータによれば、2023年には職場での熱中症による死傷者数が1,195人にのぼり、死亡者数も31人と深刻な状況です。

特に注目すべきは、業種によって熱中症の発生リスクが大きく異なるという点です。建設業、製造業、警備業などでは、作業環境や作業内容の特性により、それぞれ特有の危険要因が存在します。本記事では、業種別のデータを基に、各業界に求められる具体的な熱中症対策を詳しく解説します。


建設業:屋外作業と高温曝露のリスクが顕著

作業環境の特徴

建設業は、屋外での作業が中心となるため、日射や気温の影響を直接受けます。夏場のアスファルトや鉄骨、コンクリートからの照り返しにより、体感温度が40℃を超えることも珍しくありません。高所作業や解体、舗装といった身体的負荷の高い作業も多く、体力の消耗が激しいことも特徴です。

データで見る建設業のリスク

厚労省の統計によると、2019年から2023年の5年間で、熱中症による死傷者のうち約21%が建設業に集中しており、全業種の中で最も高い割合となっています。

建設現場での推奨対策

  • 作業エリアの暑熱環境改善:日よけテントやミストシャワー、散水の活用
  • 作業中のWBGT値測定:28℃を超えた場合は作業を中断し、休憩を優先
  • 休憩所の冷房整備:冷房付き休憩所を現場近くに設置、体を横にできるスペースの確保
  • 服装と装備:通気性の良い作業服、遮熱素材のヘルメットカバーやアームカバーの導入
  • 暑熱順化の徹底:新入社員や再配属者には、数日かけて段階的に作業を割り当てる

製造業:屋内作業でも安心できない高温ストレス

作業環境の特徴

一見すると涼しそうな屋内作業ですが、製造現場には炉や機械などの発熱源が多く、空調が行き届かない場所も多く見られます。とくに金属加工や化学製品の製造工程では、室温が外気より高くなることもあり、屋外と同等、またはそれ以上の熱中症リスクを伴います。

製造業のリスク傾向

2019年から2023年の統計によると、製造業は熱中症による死傷者の約20%を占めており、建設業に次いでリスクが高い業種です。

製造現場での推奨対策

  • 熱源への遮蔽:炉やボイラーとの間に断熱シートや遮熱パネルを設置
  • 局所換気と通風:扇風機だけでなく、天井からのダクト式送風や排気も導入
  • 作業計画の工夫:午前中に負荷の高い作業を集中させ、午後は軽作業中心に
  • 冷却グッズの活用:冷感タオル、アイスベスト、冷却シートなどの配布
  • 定期的な水分・塩分補給の記録管理:作業中に飲水チェックリストを導入

警備業:長時間の立ち仕事と孤立作業に注意

作業環境の特徴

警備業は商業施設や公共インフラの屋外での立哨や巡回業務が多く、日中の直射日光を長時間浴びる機会が多いのが特徴です。さらに夜勤や交代制勤務も多く、生活リズムが乱れがちで体調管理が難しい傾向にあります。

警備業の熱中症リスク

警備業の死傷者割合は10%ですが、高齢労働者の割合が高く、重症化のリスクが大きいとされています。特に単独勤務中の異常の発見が遅れ、対処が遅れることが問題となっています。

警備現場での推奨対策

  • 通信体制の強化:定期的な無線連絡や、スマートウォッチによる体調監視
  • 休憩ポイントの整備:日陰や冷房設備付きの待機場所の設置
  • 制服の改善:通気性の高い夏用ユニフォーム、冷感素材の使用
  • バディ制導入:巡回時に2人1組で行動、互いの健康状態を確認
  • 勤務前の体調申告制度:睡眠時間や前日の飲酒有無などを毎回チェック

共通して重要な4つの対策視点

1. 暑熱順化

人は急に暑い環境で作業を始めると、体が順応できず熱中症リスクが急増します。梅雨明け後などは特に要注意で、段階的に慣らす期間が不可欠です。

2. 水分・塩分補給

体が感じる前に脱水は始まっています。作業前・中・後に定期的な補給を行い、チェック表などで記録管理する仕組みづくりが有効です。

3. 健康状態の確認

作業開始前の問診や、現場巡視時の声かけ・観察が重要です。顔色、言動、歩き方などに異変が見られたら即座に作業中断を指示する体制が必要です。

4. 教育と訓練

熱中症の初期症状や応急処置をすべての作業者に教育し、年1回の研修で「自分や同僚を守る」意識を高めます。


まとめ:業界特性に応じた対策こそが命を守る

建設・製造・警備業、それぞれの業界には熱中症リスクを高める固有の要因が存在します。一律のルールでは十分に対応できず、職場ごとにリスク評価を行い、柔軟で実践的な対策を講じることが求められます。

「暑さはがまんするもの」ではなく、「正しく対処すべきリスク」として認識し、現場ごとの創意工夫を重ねることが、安全で持続可能な職場づくりにつながります。

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立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

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