労働安全衛生担当が知っておくべきWBGT値の測定方法【6月から熱中症対策が義務化】

労働安全衛生担当が知っておくべきWBGT値の測定方法【6月から熱中症対策が義務化】 - 立ち仕事のミカタ
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なぜWBGT値の測定が必要なのか

近年、猛暑の影響で製造業の作業現場における熱中症リスクが深刻化しています。屋外作業だけでなく、屋内でも空調設備が不十分な工場や倉庫では、輻射熱や湿度の影響で体感温度が急激に上昇することがあります。こうした状況下で、安全管理の要となるのが「WBGT値(湿球黒球温度)」の正確な測定と活用です。

WBGT値の管理は、熱中症の発症を防ぐだけでなく、作業効率やモチベーションの維持、さらには企業の労働安全衛生に対する信頼向上にも直結します。ここでは、製造業におけるWBGT値の測定方法について、基本的な知識から応用までを体系的に解説します。

なお、2025年7月3日放送のTBS系列「ひるおび」では、《不快な暑さいつまで!?熱中症対策義務化で…企業独自の対策が続々》と題した特集が組まれ、WBGT値を活用した作業環境改善の取り組みが紹介される予定です。世間の関心が高まる中、数値に基づく熱中症対策がいまや“当たり前”になりつつあります。

測定前に確認すべき基本事項

WBGT値を有効に活用するためには、測定に先立っていくつかの前提条件を整理しておくことが重要です。

測定目的の明確化

  • 作業管理のための日常的なモニタリングか
  • 法令対応や安全衛生監査に向けた記録保存か
  • 熱中症発症後の検証材料としての記録か

それぞれの目的に応じて、求められる測定精度や記録の粒度も変わってきます。

測定環境の特性の把握

  • 屋内か屋外か(直射日光の有無)
  • 空調設備の有無と稼働状況
  • 風通し、機械熱、作業時間帯などの条件

こうした条件は、WBGT値の構成要素である湿球温度・黒球温度・乾球温度に大きく影響を与えるため、測定場所の選定にも関わってきます。

測定器の選定:簡易型と専門型の違い

簡易型WBGT測定器

市販の熱中症指数計など、比較的安価で手軽に使用できるタイプ。多くはデジタル表示式で、湿球温度と黒球温度の疑似データからWBGT値を推定します。

メリット

  • 携帯性に優れ、現場ですぐ使える
  • 初期導入コストが低い
  • 操作が簡単で教育コストがかからない

デメリット

  • 精度がやや低く、詳細分析には不向き
  • 長時間の連続測定や記録機能に限界あり

専門型WBGT測定器(ISO準拠)

ISO7243に対応した本格的な計測機器。湿球温度・黒球温度・乾球温度の3つを独立して測定し、より正確なWBGT値を算出できます。

メリット

  • 精度が高く、産業衛生の分析にも使用可能
  • 長期的な記録管理に向いている
  • データ出力・クラウド連携機能を備えた機種も

デメリット

  • 高価格帯で初期投資が必要
  • 校正やメンテナンスが必要
  • 操作に一定の知識が求められる

測定方法:現場での正しい手順

屋内作業環境での測定手順

測定高さの目安

  • 作業者の顔〜胸の高さ(約1.1m〜1.2m)

設置場所のポイント

  • 空調や送風の直下は避ける
  • 広いスペースの中央部を選定
  • 太陽光が差し込む窓際は避ける(黒球温度が過大に)

屋外作業環境での測定手順

直射日光下と日陰の使い分け

  • 作業実態に近い方を優先して測定

測定タイミングの目安

  • 朝(開始前)、昼(ピーク時)、午後(疲労蓄積)

注意点

  • 黒球温度が安定するまで測定器の設置を待つ
  • 地表からの照り返しがある場合は測定器を保護する

測定値の活用と記録の方法

WBGT値は、リアルタイムの作業管理だけでなく、過去データをもとにリスク傾向を把握し、対策を講じるための重要な情報資源です。

記録フォーマットに含めるべき項目

  • 測定日時
  • 測定場所(屋内/屋外、機械付近など)
  • 測定値(WBGT、気温、湿度、黒球温度)
  • 作業内容(重作業、軽作業など)
  • 対応措置(休憩時間、服装、冷房使用)

データの活用方法

  • 定点観測による「暑さの傾向」分析
  • 労災発生時の検証データとしての活用
  • 管理者間での情報共有と作業計画への反映

測定を現場に定着させる工夫

測定結果の「見える化」

  • WBGT値を掲示板やモニターに表示
  • 安全朝礼で当日の注意点を共有

教育と意識づけ

  • 測定の目的と意義を作業者に説明
  • 「暑いから休む」から「数値で判断する」文化へ

負担を減らす工夫

  • 測定担当を日替わりで設定
  • 測定器に自動記録機能を活用
  • 測定結果をクラウド管理して一括集計

まとめ:WBGT測定は「安全の入り口」

製造現場におけるWBGT値の測定は、単なる形式的な作業ではなく、作業者の命と健康を守るための本質的な行為です。特に猛暑が常態化する今、暑さへの対策を「感覚」ではなく「数値」で管理することが求められています。

正確な測定、適切な活用、そして継続的な記録と改善。そのすべてが揃ってこそ、WBGT値は真に役立つ「安全指標」となります。今こそ、製造業の現場におけるWBGT管理を仕組みとして定着させていきましょう。

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立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

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立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

スネ部のロールクッションが体重の一部を優しく支えることで、足裏の荷重が軽減していることがデータから示されました。

スタビハーフの負荷軽減効果検証実験の様子。立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

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