【安全衛生担当者が知っておきたい】安衛法改正に対応する5つのチェックリスト

製造業の安全衛生担当者の方、2026年の安衛法改正への対応準備は進んでいますか?今回の改正は、化学物質管理の強化から高齢者対策、ストレスチェック義務化まで、製造業の現場に大きな影響を及ぼす内容が含まれています。「何から手をつければいいのか分からない」「社内への説明をどう進めればいいのか」――そんな悩みを抱える安全衛生担当者は少なくないでしょう。
この記事では、製造業に影響する安衛法改正2026年の5つの改正項目について、何が変わるのかと具体的に何をすべきかをチェックリスト形式で整理しました。優先順位の考え方や社内説明資料作成のポイントも解説しますので、ぜひ対応計画の策定にお役立てください。
この記事でわかること
- 2026年の安衛法改正で製造業に影響する5つの改正項目の概要
- 各改正項目ごとの「何が変わるか」と「具体的にやるべきこと」のチェックリスト
- 改正対応の優先順位の付け方と進め方
- 社内説明資料を作成する際の実践的なポイント
- 工場の安全衛生管理体制を見直すためのヒント
製造業の安衛法改正2026|押さえるべき5つの対応ポイント
2026年に施行される労働安全衛生法(安衛法)の改正は、多岐にわたる内容を含んでいます。なかでも製造業の安全衛生担当者が特に注目すべきは、以下の5つの改正項目です。
- 化学物質管理の強化
- 高齢労働者への安全衛生対策
- 個人事業者等の保護規定の拡充
- ストレスチェック制度の義務化拡大
- 特定機械等検査制度の見直し
それぞれの改正内容と、製造業の現場で具体的に何をすべきかを順に見ていきましょう。
改正1: 化学物質管理の強化
何が変わるか
2024年4月から段階的に進められてきた化学物質管理の規制強化が、2026年にさらに本格化します。従来の「特定の物質を個別に規制する」方式から、事業者が自律的にリスクアセスメントを行い管理する方式への転換が完了段階に入ります。
厚生労働省の「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告書(2024)によると、製造業では年間約400件以上の化学物質による労働災害が発生しており、その多くがリスクアセスメントの未実施や不十分な管理体制に起因しています。
具体的には、以下の点が強化されます。
- リスクアセスメント対象物質の大幅拡大(約2,900物質へ段階的に拡大)
- 化学物質管理者の選任義務の対象事業場の拡大
- ばく露濃度の基準値設定と遵守義務の本格運用
- SDSの通知方法の電子化推進と情報伝達義務の強化
対応チェックリスト
- [ ] 自社で使用・製造するすべての化学物質のリストを最新の状態に更新する
- [ ] リスクアセスメント対象物質の拡大に伴い、未実施の物質がないか確認する
- [ ] 化学物質管理者の選任状況を確認し、未選任であれば速やかに選任する
- [ ] 化学物質管理者に必要な教育・研修の受講計画を立てる
- [ ] ばく露濃度の測定体制を整備し、基準値との比較・記録の仕組みを構築する
- [ ] SDS(安全データシート)の電子管理システムを導入または更新する
- [ ] 保護具の選定・管理・使用状況を再点検する
改正2: 高齢労働者への安全衛生対策
何が変わるか
総務省「労働力調査」(2025)によると、製造業における60歳以上の就業者は全体の約18%を占め、今後も増加が見込まれています。2026年の改正では、高齢労働者の安全と健康確保に関する事業者の措置義務が強化されます。
厚生労働省が策定した「エイジフレンドリーガイドライン」(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)を踏まえ、以下が法的義務または努力義務として明確化されます。
- 高齢労働者を対象としたリスクアセスメントの実施
- 身体機能の低下を考慮した作業環境の改善措置
- 健康診断結果を踏まえた就業上の措置の強化
- 転倒・墜落防止対策の重点実施
製造業の立ち仕事の現場では、加齢に伴う筋力低下やバランス機能の低下が労働災害リスクを高めます。厚生労働省「労働災害統計」(2024)では、60歳以上の製造業従事者の休業4日以上の労働災害発生率は、30代と比較して約2倍に達しています。
対応チェックリスト
- [ ] 自社の高齢労働者(55歳以上を目安)の人数・配置・作業内容を把握する
- [ ] 高齢労働者に特化したリスクアセスメントを実施する
- [ ] 立ち作業が長時間に及ぶポジションについて、作業負荷の軽減策を検討する
- [ ] 転倒防止のための床面整備、照明改善、段差解消などの環境改善を行う
- [ ] 高齢労働者向けの体力チェック(体力測定等)を導入する
- [ ] 健康診断のフォローアップ体制(産業医面談等)を整備する
- [ ] 作業補助機器やアシストスーツ等の導入を検討する
改正3: 個人事業者等の保護規定の拡充
何が変わるか
製造業では、工場内で作業する個人事業者(一人親方)や業務委託先の作業員が少なくありません。従来の安衛法では、これらの「労働者ではない人」に対する保護規定が不十分でしたが、2026年の改正で注文者・発注者の責任が強化されます。
厚生労働省「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」報告書(2023)を受けた改正で、以下の義務が追加・強化されます。
- 注文者による危険有害情報の提供義務の明確化
- 同一作業場所で働く個人事業者への保護措置の義務化
- 個人事業者に対する安全衛生教育の機会提供の努力義務
- 個人事業者の労災報告制度への組み込み
対応チェックリスト
- [ ] 自社工場内で作業する個人事業者・業務委託先のリストを作成する
- [ ] 各個人事業者に対して危険有害情報を文書で提供する仕組みを整える
- [ ] 個人事業者を含めた安全衛生協議会・連絡会議の運営体制を構築する
- [ ] 個人事業者に対する保護具の貸与・着用指導のルールを策定する
- [ ] 業務委託契約書に安全衛生に関する条項を追加または更新する
- [ ] 個人事業者の災害発生時の報告・対応フローを整備する
改正4: ストレスチェック制度の義務化拡大
何が変わるか
現行制度では従業員50人以上の事業場にストレスチェックの実施が義務付けられていますが、2026年の改正により従業員50人未満の事業場にも義務が拡大されます。製造業には中小規模の工場や事業場が多く、この改正の影響は非常に大きいと考えられます。
厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」(2024)によると、製造業の労働者のうち約54%が仕事に関する強いストレスを感じていると回答しています。立ち仕事による身体的疲労は精神的ストレスとも密接に関連しており、総合的なケアが求められています。
改正のポイントは以下のとおりです。
- 全事業場でのストレスチェック実施義務化
- 小規模事業場における実施体制整備の猶予期間の設定(施行後1年間)
- 集団分析の努力義務化と結果活用のガイドライン強化
- 産業医が選任されていない事業場での実施支援体制の整備
対応チェックリスト
- [ ] 50人未満の事業場(支店・営業所・小規模工場)を洗い出す
- [ ] ストレスチェック実施者(医師・保健師等)を確保する
- [ ] ストレスチェックの実施計画(時期・方法・対象者)を策定する
- [ ] 高ストレス者への面接指導の体制(産業医または地域産業保健センターの活用)を整備する
- [ ] 集団分析の実施方法と結果の活用方針を決定する
- [ ] 個人情報保護に関する取り扱いルールを策定する
- [ ] 従業員への制度説明と理解促進のための周知を行う
改正5: 特定機械等検査制度の見直し
何が変わるか
製造業の工場で多く使用されるクレーン、ボイラー、圧力容器などの特定機械等に関する検査制度が見直されます。老朽化した設備の安全確保と、IoT・デジタル技術を活用した新たな検査手法の導入が柱となります。
厚生労働省「特定機械等に係る検査の在り方に関する検討会」報告書(2024)では、設備の高経年化が進む中で検査の実効性を高める必要性が指摘されています。
主な変更点は以下のとおりです。
- 性能検査における経年劣化評価の強化
- リスクベース検査(RBI)の考え方の導入
- IoTセンサー等を活用した連続監視データの検査活用の制度化
- 検査記録の電子化・保存期間の見直し
対応チェックリスト
- [ ] 自社が保有する特定機械等(クレーン、ボイラー、圧力容器等)の一覧と使用年数を整理する
- [ ] 高経年設備(15年以上使用等)の優先点検計画を策定する
- [ ] 性能検査のスケジュールと検査機関との調整状況を確認する
- [ ] IoTセンサー等の連続監視システムの導入可否を検討する
- [ ] 検査記録の電子化・データベース管理への移行計画を立てる
- [ ] 設備の更新・廃止計画を中長期的に見直す
対応の優先順位の付け方
5つの改正項目を前にして、「すべてを同時に進めるのは難しい」と感じる担当者も多いでしょう。優先順位を決める際は、以下の2つの軸で整理するのが効果的です。
緊急度で分類する
改正の施行日と経過措置の有無を確認し、対応期限が早いものから着手します。一般的に、化学物質管理の強化は段階的に進行中であり、即座の対応が必要です。一方、ストレスチェックの義務化拡大には猶予期間が設けられる見込みです。
影響度で分類する
自社の事業内容・規模・従業員構成によって、影響の大きさは異なります。
- 化学物質を多量に使用する工場→ 改正1(化学物質管理)が最優先
- 高齢従業員の比率が高い事業場→ 改正2(高齢者対策)が最優先
- 個人事業者が多く出入りする現場→ 改正3(個人事業者保護)が最優先
- 50人未満の小規模工場を多数抱える企業→ 改正4(ストレスチェック)が最優先
- 特定機械を多数保有する工場→ 改正5(検査制度)が最優先
自社の状況に照らして「緊急度×影響度」のマトリクスを作成し、限られたリソースを集中させる順番を決めましょう。
社内説明資料作成のポイント
改正内容を社内に展開する際の説明資料は、経営層向けと現場向けで構成を変えることが重要です。
経営層向け資料のポイント
- 法的リスクと罰則規定を明確に示す(違反した場合のペナルティ、行政指導のリスク)
- コスト面の概算を提示する(設備投資、外部委託費、教育研修費等)
- 対応スケジュールをガントチャート等で視覚化する
- 対応しない場合のリスク(労災事故、行政処分、企業イメージの低下)を併記する
現場管理者・従業員向け資料のポイント
- 自分たちの業務にどう影響するかを具体的に記載する
- 専門用語を避け、平易な表現で説明する
- 新たに求められる行動を箇条書きで明確にする
- Q&A形式を取り入れて疑問点を先回りして解消する
厚生労働省のWebサイトでは、改正内容に関するリーフレットやQ&Aが随時公開されますので、公式資料を積極的に活用することも有効です。
よくある質問
Q: 改正はすべて2026年4月1日に一斉施行されますか?
A: いいえ、改正項目によって施行日は異なります。化学物質管理の強化は2024年から段階的に施行が進んでおり、2026年に最終段階を迎えます。ストレスチェックの義務化拡大には経過措置が設けられる見込みです。各項目の施行日は厚生労働省の公式発表で必ず確認してください。
Q: 小規模な工場(従業員10人程度)でも対応が必要ですか?
A: はい、事業場の規模にかかわらず対応が必要な改正項目があります。特にストレスチェック制度の義務化拡大は、従業員50人未満の事業場が新たに対象となるため、小規模工場にとって大きな影響があります。化学物質管理やリスクアセスメントの義務も事業場規模を問いません。
Q: 対応に必要な費用の目安はどのくらいですか?
A: 企業規模や現在の管理体制によって大きく異なりますが、厚生労働省や各都道府県の産業保健総合支援センターでは、中小企業向けの無料相談や助成金制度を設けています。「団体経由産業保健活動推進助成金」や「エイジフレンドリー補助金」など、活用できる支援制度を事前に調べておくことをお勧めします。
まとめ
2026年の安衛法改正は、製造業の安全衛生管理に広範な影響を及ぼします。本記事で解説した5つの改正項目を改めて整理すると、以下のとおりです。
- 化学物質管理の強化 — リスクアセスメントの自律的管理体制の確立
- 高齢労働者への安全衛生対策 — 加齢に伴うリスクへの組織的対応
- 個人事業者等の保護規定の拡充 — 同一現場で働く全員の安全確保
- ストレスチェック制度の義務化拡大 — メンタルヘルス対策の全事業場展開
- 特定機械等検査制度の見直し — 高経年設備の安全確保と検査の高度化
重要なのは、これらの改正を「負担が増える」と捉えるのではなく、安全衛生管理体制を底上げする機会として前向きに活用することです。早めの情報収集と計画的な対応が、法令遵守だけでなく、従業員の安全と健康を守り、ひいては生産性の向上にもつながります。
まずは本記事のチェックリストを活用して、自社の現状と改正内容のギャップを確認するところから始めてみてください。
参考文献
- 厚生労働省, 「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会 報告書」, 2024年, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-anzen_128984_00004.html
- 厚生労働省, 「エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)」, 2020年(2024年改訂), https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/agehurrendori.html
- 厚生労働省, 「労働災害統計」, 2024年, https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/
- 厚生労働省, 「労働安全衛生調査(実態調査)」, 2024年, https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h30-46-50b.html
- 厚生労働省, 「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会 報告書」, 2023年, https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29853.html
- 厚生労働省, 「特定機械等に係る検査の在り方に関する検討会 報告書」, 2024年, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-anzen.html
- 総務省, 「労働力調査」, 2025年, https://www.stat.go.jp/data/roudou/
- 厚生労働省, 「ストレスチェック制度の施行に関する検討会 報告書」, 2024年, https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html

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