日本における筋骨格系障害(腰痛・肩こりなど)の統計データ【2025年完全版】

はじめに
日本社会において、腰痛や肩こりなどの筋骨格系障害(Musculoskeletal Disorders: MSD)は、労働者の健康を脅かす最も身近で慢性的な健康問題の一つです。これらの症状は、単なる身体的不快感にとどまらず、労働生産性の低下、企業の医療・休業コストの増加、さらには労働力の安定確保に対する障害ともなり得ます。
本記事では、厚生労働省や労働安全衛生機構、学術研究機関等による信頼性の高い統計データをもとに、日本国内における腰痛や肩こりの発生実態、リスク要因、経済的影響、業種別の傾向、さらには予防・対策の方向性までを網羅的に解説します。
1. 腰痛の実態と統計
1-1. 腰痛の有病率
- 生涯有病率:約83.5%。ほとんどの日本人が一度は腰痛を経験するとされています。
- 1か月有病率:約35.6%。日常生活や業務に影響を及ぼす頻度で腰痛が発症しています。
- Grade 3以上(重症)の腰痛経験者:約25%。業務への支障や医療機関受診が必要なレベル。
- 連続4日以上の欠勤経験者:約10%。職場の人員配置や業務効率に直接影響。
これらのデータは、単なる一時的な不調にとどまらず、慢性的に繰り返す腰痛が多くの人々の生活の質や労働能力に深刻な影響を与えていることを示しています。
1-2. 年代別傾向と性別差
- 30代〜50代において発症率が高く、特に男性の肉体労働者層に多く見られます。
- 高齢化の進展により、60代以上の腰痛報告数も増加傾向。
- 女性では、立ち仕事や家事育児による腰部負担が要因となり、腰痛経験率が高くなる傾向も確認されています。
- 妊娠・出産後の女性ではホルモン変化や筋力低下により、慢性腰痛が長期化する例も。
1-3. 慢性腰痛と労働生産性
- 慢性腰痛を持つ労働者は、健康な労働者に比べて業務遂行能力が約30〜40%低下するとされています。
- 出勤はしているものの生産性が著しく低下する「プレゼンティーイズム」による損失は莫大。
- 日本全体での損失は年間約3.0兆円と推定されています(公益社団法人日本カイロプラクターズ協会推計)。
- 加えて、欠勤(アブセンティーイズム)や再発による診療費・代替人員確保コストなど、企業が負担する間接的コストも大きい。
2. 肩こりの実態と統計
2-1. 肩こりの有病率
- 厚生労働省「国民生活基礎調査(2022年)」によれば、女性の自覚症状の第1位は「肩こり」(全体の約60%)。
- 男性では「腰痛」に次いで2位にランクイン。
- 年代別では、働き盛りの20代後半〜50代前半で最も多く、オフィスワーカー層での報告率が高い。
2-2. 原因とリスクファクター
- 長時間のデスクワークやスマートフォンの長時間使用による前傾姿勢。
- 姿勢不良、運動不足、ストレス。
- BMIが低い人(痩せ型)ほど発症リスクが高い傾向が報告されています。
- また、冷え性や自律神経の乱れ、精神的ストレスも肩こり発症を助長する要因となります。
- 対人応対業務やコールセンター職など、神経を使う職場では肩こりと緊張性頭痛が併発しやすい傾向。
2-3. 肩こりと業務効率への影響
- 肩こり・腰痛のいずれか、あるいは両方に悩む労働者では、業務効率が平均34.7%低下(佐藤製薬調査 2012)。
- 特にマウス操作やPC作業を中心とする業務で顕著に見られます。
- 眼精疲労や集中力の低下、意欲減退といった2次的影響も多く報告されています。
- 作業姿勢の固定化が長期化することで、頸椎や肩甲骨周辺の可動域制限を生じ、慢性化リスクが高まります。
3. MSDの業種別発生傾向
3-1. 高リスク業種の比較(死傷年千人率)
業種 | 腰痛発生率(死傷年千人率) |
---|---|
保健衛生業 | 0.25 |
陸上貨物運送事業 | 0.41 |
建設業 | 0.38 |
製造業(特に食品・機械分野) | 0.22 |
小売業・卸売業 | 0.18 |
全業種平均 | 0.1 |
3-2. 特定職種での傾向
- 介護・看護職では、利用者の移乗や体位変換が腰痛の主因。
- 配送業では、反復的な荷物の上げ下ろしや中腰作業が原因。
- 製造業では、立ちっぱなしでの組立作業や重量物の運搬が慢性腰痛の温床に。
- 飲食業においても、長時間の厨房内立位作業や不規則な動線が腰部・下肢に負担をかけます。
- 美容師・理容師などは前屈み姿勢や手を高く上げた姿勢の持続によって頸肩部への負担が顕著。
4. 経済的影響と企業へのインパクト
4-1. 医療費・休業コスト
- MSD関連の医療費・労災補償・欠勤による損失は、企業の経済活動における無視できない負担要素。
- 国際労働機関(ILO)によれば、MSDによる損失はGDPの1〜2%相当になる可能性も。
- 企業単位では、年平均で1人あたり20万〜40万円の損失と試算する報告もあり、規模の大きい事業所では年間数千万円に上る例も。
4-2. 離職・人材確保への影響
- 慢性的な腰痛・肩こりは、特に若年層や非正規雇用者の離職理由として上位。
- 人材確保が難しい業界では、身体的負担の軽減が離職防止と職場満足度向上の鍵となります。
- 高齢労働者が増加する中、健康的に働き続けられる職場環境の構築が中長期的な経営課題に。
5. 対策と予防の方向性
5-1. 作業環境の見直し
- 高さ・角度が調整可能な作業台の導入。
- デスクワークでは、ディスプレイの高さ、椅子の形状・背もたれの角度を調整。
- 作業場の動線設計や照明環境の整備によって、姿勢の無理を最小限に。
5-2. 補助器具・支援ツールの活用
- 腰部サポートベルト、着座支援機器、姿勢補正ツールの導入。
- 腰部の負担を軽減するサポートデバイスやアシストスーツの活用事例も増加。
- 労働時間の間に定期的なストレッチや姿勢変化を促す仕組みを設ける。
5-3. 教育と啓発
- 正しい姿勢と身体の使い方に関する教育(エルゴノミクス研修)。
- リスクアセスメントを通じた現場の課題把握と改善提案。
- 管理職への教育も重要で、現場の声を吸い上げる体制づくりが鍵。
まとめ
腰痛や肩こりといった筋骨格系障害は、日本の多くの労働者が抱える深刻な問題です。特に働き方の多様化や高齢化が進む中で、これらの症状に対する理解と予防がより一層重要となっています。企業にとっても、従業員の身体的負担軽減は、労働生産性の向上、人材定着、医療費削減など多くのメリットにつながります。効果的な対策としては、作業環境の見直し、補助器具の導入、教育研修の実施などが挙げられます。また、経営層の理解と投資が、長期的には組織全体の健全性と持続可能性を支える基盤となるでしょう。
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