熱中症による死傷災害が過去最多の1,257人に【前年比150人超増 厚労省が令和6年の確定値を発表】

熱中症による死傷災害が過去最多の1,257人に【前年比150人超増 厚労省が令和6年の確定値を発表】 - 立ち仕事のミカタ

はじめに

2024年、職場における熱中症による死傷災害の発生件数が過去最多の1,257人に達したという厚生労働省の発表は、多くの現場関係者に衝撃を与えました。特に製造業と建設業においては、死傷者数がそれぞれ235人と228人にのぼり、この2業種で全体の約4割を占めています。

本記事では、厚生労働省が公表した「令和6年(2024年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況」から、(1)発生件数の推移、(2)業種別リスク、そして(3)死亡災害の具体的な事例に焦点を当て、現場で何が起きていたのか、そしてどうすれば防げたのかを、データと実例をもとに解説します。


目次

熱中症による死傷災害の推移──「猛暑のせい」だけではない

2024年に発生した職場での熱中症による死傷者数は1,257人で、前年(2023年)と比べて13.6%増となりました。これは、2015年の472人と比較して約2.7倍にあたり、ここ10年で熱中症災害がいかに深刻化しているかを如実に物語っています。

さらに注目すべきは死亡者数で、2024年には31人が職場で命を落としました。これは前年の22人から大幅に増加しており、記録が残る中で最も多い水準です。厚生労働省はこれを「過去最多」と位置づけ、警戒を呼びかけています。

この増加傾向は単なる気温上昇によるものではありません。実際にWBGT(暑さ指数)が「注意喚起レベル」である日数は年によってばらつきがある一方、職場の災害件数は右肩上がりを続けています。これは、現場でのリスク管理や暑熱対策の徹底が追いついていないことの裏返しだと考えられます。


製造業・建設業に集中する熱中症リスク──現場の構造的問題

2024年の死傷者1,257人のうち、製造業は235人(うち死亡者5人)、建設業は228人(死亡10人)と、2業種で全体の約37%を占めています。死亡者31人のうち実に半数近い15人がこの2業種に属しています。

なぜこの2業種で多発するのか?

  1. 作業環境が高温になりやすい:屋外での作業や、機械・炉・金属加工などによる発熱要因が多い。
  2. 作業強度が高い:重量物運搬や連続的な動作によって身体的負荷が大きく、体温が急激に上昇しやすい。
  3. 服装制約がある:安全保護具(ヘルメット、防護服など)の着用が義務付けられている場合、放熱が阻害される。
  4. 作業スケジュールに余裕がない:納期や人手不足などの事情で、適切な休憩や作業中断が確保されにくい。

これらの要素が複合的に重なった結果、熱中症リスクが他業種に比べて格段に高まっているのが現状です。


死亡災害の事例に学ぶ──「防げたかもしれない命」の背景

2024年に発生した死亡災害31件のうち、24件(77%)はWBGTの把握すら行われていなかったという事実があります。つまり、作業環境の「暑さレベル」が数値で管理されておらず、感覚的な判断に頼った結果、判断の遅れや措置の不備につながったと考えられます。

対策が不十分だった実例

  • WBGTが31℃を超える日中に屋外作業を継続:本人の訴えや兆候が見られたにもかかわらず、明確な作業中止判断がなされず、そのまま倒れる。
  • 作業後の異変を見逃す:当日は異常が見られなかったが、帰宅後に体調が急変し死亡。体調の確認や水分補給の記録が残っていなかった。
  • 作業者の年齢と既往症に対する配慮不足:50歳以上の死亡率が高いにもかかわらず、同じ作業負荷を若年層と同じ条件で課していた。

これらの事例から浮かび上がるのは、「管理者が正確に暑さを測っていなかった」「作業者が声を上げづらい空気があった」「個人差を踏まえたリスク評価が行われていなかった」という共通点です。

なぜ「帰宅後」に亡くなるケースが多いのか?

熱中症は作業中に発症するとは限りません。身体の深部体温が下がらず、脱水や臓器への影響が遅れて出ることで、症状が夜間や翌日に悪化するケースが多く見られます。こうした「作業後型」の熱中症死亡例も2024年だけで複数件発生しており、就業中だけでなく「その日の体調を職場で管理する意識」が重要となります。


おわりに──熱中症は“防げる災害”

熱中症による死傷災害の増加は、気候変動の影響だけではなく、現場におけるリスク認識と対策の遅れが原因でもあります。特に製造業・建設業では、作業の特性上どうしても高リスクな環境が避けられないことから、事前のリスク評価と即応可能な体制の整備が不可欠です。

「作業者が大丈夫と言っているから」「今までも大丈夫だったから」といった過信を捨て、数値(WBGT)、年齢や体調など個別の要因、そして教育・周知の仕組みを強化することが、命を守る第一歩となります。

今後の記事では、こうした熱中症対策をより具体的に掘り下げ、現場で今すぐ導入できるポイントを紹介していく予定です。

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