中小企業が知っておくべき2026年安衛法改正|対応すべきポイントと優先順位

労働安全衛生法の改正が中小企業にも大きな影響を及ぼすことをご存知ですか? 2026年に段階的に施行される安衛法改正では、これまで大企業中心だった義務が中小企業にも拡大されます。「うちのような小さな会社にも関係あるの?」と思われるかもしれませんが、従業員が1人でもいれば対象となる改正項目もあります。
本記事では、中小企業の経営者や労務担当者の方に向けて、2026年安衛法改正の主要ポイントを整理し、何から手をつければよいかの優先順位を具体的に解説します。
この記事でわかること
- 2026年に施行される労働安全衛生法改正のうち、中小企業に影響する5つの主要改正ポイント
- 各改正の施行時期と対象範囲
- 中小企業が今すぐ着手すべき対応策と優先順位
- 活用できる補助金・支援制度の情報
- 対応状況を確認できるチェックリスト
労働安全衛生法改正が中小企業に与える影響とは
2026年の労働安全衛生法改正は、中小企業にとって「知らなかった」では済まされない内容を含んでいます。従来は従業員50人以上の事業場が中心だった規制の多くが、小規模事業場にも広がるためです。
厚生労働省が進めてきた一連の法改正は、すべての働く人の安全と健康を守るという方向性を明確にしています。立ち仕事が多い製造業、小売業、飲食業、医療・介護といった業種では、身体的負担の軽減と法令対応を同時に進める必要があります。
以下では、中小企業に影響する5つの主要改正ポイントを、施行時期が早い順に解説します。
改正ポイント1: ストレスチェック義務化の対象拡大
何が変わるのか
現行法では、従業員50人以上の事業場にのみ義務づけられていたストレスチェックが、50人未満の事業場にも義務化されます。これは中小企業にとって最もインパクトの大きい改正の一つです。
厚生労働省の調査によると、従業員50人以上の事業場でのストレスチェック実施率は84.7%に達している一方、50人未満の事業場ではわずか32.3%にとどまっています(厚生労働省, 2024)。この大きなギャップを埋めることが、今回の改正の狙いです。
中小企業が対応すべきこと
- 実施体制の整備: 産業医の選任義務がない50人未満の事業場では、地域産業保健センター(さんぽセンター)の活用を検討する
- 実施マニュアルの確認: 厚生労働省が公表している「小規模事業場向けストレスチェック実施マニュアル」を参照する
- 費用の把握: 外部委託する場合の費用相場(1人あたり数百円〜数千円程度)を事前に確認する
- 労基署への報告は不要: 50人未満の事業場については労働基準監督署への報告義務は課されない予定
ストレスチェックは、立ち仕事による身体的疲労だけでなく、それに伴う精神的ストレスの早期発見にも有効です。腰痛や下肢の疲労が慢性化すると、メンタルヘルスの不調につながるケースも少なくありません。
改正ポイント2: 化学物質管理の強化
何が変わるのか
化学物質の自律的管理が本格化し、リスクアセスメント対象物質が約2,900種に拡大されます。あわせて、SDS(安全データシート)の交付義務が拡大され、化学物質管理者の選任が義務づけられます。
中小企業が対応すべきこと
- 自社で使用する化学物質の棚卸し: 洗浄剤、塗料、接着剤など、日常的に使用している化学物質がリスクアセスメント対象に該当するか確認する
- 化学物質管理者の選任: 業種を問わず、化学物質を取り扱うすべての事業場で選任が必要。社内から適任者を選び、必要な講習を受講させる
- SDSの整備と周知: 取引先からSDSを入手し、使用する労働者に内容を周知する体制を整える
製造業や食品加工業など、立ち仕事の現場では洗浄作業や塗装作業で化学物質を日常的に使用しているケースが多くあります。「うちは化学工場じゃないから関係ない」と思い込まず、使用している製品のSDSを確認することが重要です。
改正ポイント3: 高齢者の労災防止措置(2026年4月〜)
何が変わるのか
60歳以上の労働者に対する労災防止措置が努力義務として導入されます(2026年4月施行)。高齢労働者の増加に伴い、転倒・墜落災害の防止や作業環境の改善が求められます。
政府はこの分野への支援を強化しており、令和8年度のエイジフレンドリー補助金の概算要求額は9.5億円(前年比25%増)に拡大されています(厚生労働省, 2025)。
中小企業が対応すべきこと
- 職場環境の点検: 滑りやすい床面、段差、不十分な照明など、高齢者にとってリスクとなる要因を洗い出す
- 作業負荷の見直し: 長時間の立ち仕事や重量物の取り扱いについて、高齢労働者への配慮を検討する
- エイジフレンドリー補助金の活用: 転倒防止対策、身体機能の低下を補う設備導入(手すり、滑り止め、補助器具など)に活用できる
- 健康診断結果の活用: 体力測定や健康診断の結果を踏まえた作業配置の見直し
立ち仕事が中心の職場では、高齢労働者の筋力低下やバランス機能の衰えが労災リスクに直結します。疲労軽減マットの導入や、作業台の高さ調整、適切な休憩時間の確保など、比較的低コストで実施できる対策から始めることが推奨されています。
改正ポイント4: 個人事業者への保護拡大
何が変わるのか
構内請負や業務委託で働く個人事業者(フリーランス)も安衛法の保護対象に含まれることになります。元方事業者(発注者側)には、個人事業者に対しても安全衛生上の措置を講じる義務が拡大されます。
中小企業が対応すべきこと
- 業務委託先の洗い出し: 自社の作業場内で作業する個人事業者・一人親方がいないか確認する
- 安全衛生情報の提供: 個人事業者にも安全衛生教育や作業上の危険情報を提供する体制を整える
- 保護具の貸与・使用確認: 必要な保護具を個人事業者にも使用させる仕組みを構築する
建設業や製造業の中小企業では、個人事業者への外注は一般的です。自社の従業員だけでなく、現場で作業するすべての人の安全に責任を持つという意識の転換が求められます。
改正ポイント5: カスタマーハラスメント対策(2026年10月〜)
何が変わるのか
2026年10月施行の改正では、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の義務となります。注目すべきは、従業員が1人でもいれば対象となる点です。小売業や飲食業など、立ち仕事で接客業務を行う中小企業にとって、特に重要な改正です。
中小企業が対応すべきこと
- 対応方針の策定: カスハラに対する企業としての方針を明文化する
- 相談体制の整備: 従業員がカスハラ被害を報告・相談できる窓口を設ける
- 対応マニュアルの作成: 現場でのカスハラ発生時の具体的な対応手順を定める
- 従業員への周知・教育: 方針やマニュアルの内容を全従業員に周知する
接客を伴う立ち仕事では、長時間の立位による身体的疲労に加え、顧客からの理不尽な要求や暴言による精神的ストレスが重なります。カスハラ対策は、従業員の心身両面の健康を守る取り組みとして位置づけることが重要です。
対応の優先順位と進め方
5つの改正ポイントを、施行時期・対応の緊急度・自社への影響度で整理しました。以下の対応優先度マトリクスを参考に、計画的に準備を進めてください。
| 改正ポイント | 施行時期 | 対象規模 | 対応難易度 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|
| ストレスチェック義務化 | 2026年(予定) | 全事業場 | 中 | 最優先 |
| 化学物質管理強化 | 段階的施行中 | 化学物質使用事業場 | 高 | 高 |
| 高齢者労災防止 | 2026年4月 | 全事業場(努力義務) | 低〜中 | 中 |
| 個人事業者保護 | 2026年(予定) | 個人事業者と取引がある事業場 | 中 | 中 |
| カスハラ対策 | 2026年10月 | 全事業場(1人以上) | 低〜中 | 中 |
ステップ1: 現状把握(今すぐ)
まず、自社の現状を把握することから始めましょう。
- 現在のストレスチェック実施状況を確認する
- 使用している化学物質のリストを作成する
- 60歳以上の従業員数と担当業務を整理する
- 個人事業者への発注状況を確認する
- 過去のカスハラ事例の有無を把握する
ステップ2: 体制整備(3か月以内)
- ストレスチェックの実施方法(自社実施 or 外部委託)を決定する
- 化学物質管理者の選任候補を決める
- カスハラ対応方針のドラフトを作成する
ステップ3: 実施・運用開始(施行日まで)
- ストレスチェックの試行実施を行う
- 化学物質のリスクアセスメントを実施する
- エイジフレンドリー補助金の申請を検討する
- カスハラ対応マニュアルを完成させ、従業員に周知する
対応状況チェックリスト
自社の対応状況を確認するためのチェックリストです。未対応の項目から優先的に取り組んでください。
ストレスチェック関連
- [ ] 実施体制(実施者・実施事務従事者)を決定した
- [ ] 実施方法(自社実施 or 外部委託)を選定した
- [ ] 実施スケジュールを策定した
化学物質管理関連
- [ ] 使用化学物質の棚卸しを完了した
- [ ] 化学物質管理者を選任した
- [ ] SDSの収集・整備を完了した
高齢者労災防止関連
- [ ] 職場の危険箇所の点検を実施した
- [ ] 高齢労働者の作業負荷を見直した
- [ ] エイジフレンドリー補助金の申請を検討した
個人事業者保護関連
- [ ] 構内で作業する個人事業者を把握した
- [ ] 安全衛生情報の提供体制を整備した
カスハラ対策関連
- [ ] 対応方針を策定・公表した
- [ ] 相談窓口を設置した
- [ ] 対応マニュアルを作成・周知した
よくある質問
Q: ストレスチェックの費用はどのくらいかかりますか?
A: 外部の専門機関に委託する場合、1人あたり数百円〜数千円程度が相場です。従業員数が少ない中小企業では、厚生労働省が提供する無料の「ストレスチェック実施プログラム」を活用することでコストを抑えられます。また、地域産業保健センター(さんぽセンター)では、50人未満の事業場向けに無料の相談・支援を行っています。
Q: うちの会社は化学物質を使っていないと思うのですが、本当に関係ありますか?
A: 意外に見落とされがちですが、事務用品の洗浄スプレーや業務用洗剤なども化学物質に該当する場合があります。まずは職場で使用しているすべての製品のSDSを確認し、リスクアセスメント対象物質が含まれていないかチェックすることをおすすめします。
Q: エイジフレンドリー補助金はどのような対策に使えますか?
A: 転倒防止のための床面改修、滑り止めマットの設置、手すりの取り付け、作業台の高さ調整機構の導入、疲労軽減のための補助器具購入など、幅広い対策に活用できます。立ち仕事の負担軽減につながる設備投資も対象となる可能性がありますので、詳細は厚生労働省の公募要領を確認してください。
まとめ
2026年の労働安全衛生法改正は、中小企業にとって対応すべき項目が多岐にわたります。しかし、すべてを一度に完璧にする必要はありません。施行時期と自社への影響度を見極め、優先順位をつけて段階的に対応していくことが現実的なアプローチです。
特に、ストレスチェックの義務化は対象範囲が最も広く、多くの中小企業にとって新たな取り組みとなります。まずはここから着手し、化学物質管理、高齢者対策、カスハラ対策と順に進めていくことをおすすめします。
安衛法改正への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、従業員の健康と安全を守り、働きやすい職場をつくるための投資でもあります。立ち仕事が多い現場では、身体的負担の軽減と法令対応を一体的に進めることで、労災リスクの低減と生産性の向上を同時に実現できるでしょう。
参考文献
- 厚生労働省, 「ストレスチェック制度の実施状況」, 2024年. https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省, 「小規模事業場におけるストレスチェックの実施を促進するための実施マニュアル」, 2024年.
- 厚生労働省, 「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」, 2024年. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
- 厚生労働省, 「エイジフレンドリー補助金」, 令和8年度概算要求. https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省, 「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」報告書, 2024年.
- 厚生労働省, 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」, 2022年. https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法の一部を改正する法律案の概要」, 2025年.

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