【2026年に改正】特定機械の検査制度見直し|2026年改正で民間登録機関による検査が可能に

特定機械の検査が民間の登録機関でも受けられるようになることを、ご存知ですか?2025年5月に公布された労働安全衛生法の改正により、2026年4月以降、ボイラーやクレーンなどの特定機械の検査について、従来の都道府県労働局・労働基準監督署による検査に加え、民間の登録機関が検査を実施できる制度へと移行します。
この改正は、検査需要の増加と行政リソースの限界を背景に、事業者の検査日程の柔軟化や選択肢の拡大をもたらすものと期待されています。一方で、安全性をどのように担保するのかも重要な論点です。
この記事では、特定機械の検査制度見直しの全体像を、背景から具体的な変更点、事業者への影響まで体系的に解説します。
注: 本記事は2025年9月時点の情報に基づいています。省令・告示等の詳細は今後公布されるものを含みます。
この記事でわかること
- 特定機械の定義と従来の検査制度の仕組み
- 2026年改正で民間登録機関による検査が可能になる具体的な内容
- 改正の背景にある検査需要の増加と行政リソースの課題
- 登録機関に求められる要件と安全性の担保措置
- 事業者にとってのメリットと今後の対応ポイント
特定機械の検査制度と2026年改正の概要
特定機械とは何か
特定機械等とは、労働安全衛生法第37条に規定される、危険性が特に高い機械のことです。正式には「特定機械等」と呼ばれ、製造から使用、廃止に至るまで、行政による厳格な検査が義務づけられてきました。
具体的には、以下の8種類が特定機械等に該当します。
| 種類 | 主な用途・設置場所 |
|---|---|
| ボイラー | 工場、病院、ビルの給湯・暖房設備 |
| 第一種圧力容器 | 化学プラント、食品工場の加圧処理 |
| クレーン(つり上げ荷重3トン以上) | 建設現場、製造工場、港湾 |
| 移動式クレーン(つり上げ荷重3トン以上) | 建設現場、道路工事 |
| デリック(つり上げ荷重2トン以上) | 造船所、建設現場 |
| エレベーター(積載荷重1トン以上) | 工場、倉庫の荷物用エレベーター |
| 建設用リフト | 建設現場の資材運搬 |
| ゴンドラ | ビルの外壁清掃・塗装 |
これらの機械は、万が一の故障や事故が大規模な労働災害や公衆災害につながりかねないため、安全性の確保が極めて重要です。
従来の検査制度の仕組み
特定機械等の検査は、その機械のライフサイクルに応じて複数の段階で実施されます。
製造時の検査
- 製造許可: 特定機械を製造しようとする者は、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受ける必要があります(安衛法第37条)
- 製造時等検査: 製造された特定機械は、都道府県労働局長または労働基準監督署長による検査を受けなければなりません(安衛法第38条)
設置時・使用時の検査
- 設置時等検査(落成検査): 特定機械を設置した際に受ける検査
- 性能検査: 設置後、一定期間ごとに受ける定期的な検査。検査証の有効期間を更新するために必要です
変更時の検査
- 変更検査: 特定機械の主要部分を変更した場合に受ける検査
従来、これらの検査のうち、製造時等検査・設置時等検査・変更検査は、原則として都道府県労働局長または労働基準監督署長が直接実施してきました。一方、性能検査については、すでに厚生労働大臣が登録した機関(登録性能検査機関)が実施する仕組みが整備されていました。
つまり、定期検査は民間でできるが、製造時や設置時の検査は行政でなければならないという二重構造が存在していたのです。
2026年改正の具体的な内容
民間登録機関による検査実施が可能に
2026年の労働安全衛生法改正の核心は、従来は都道府県労働局長等が行っていた製造時等検査・設置時等検査(落成検査)・変更検査についても、厚生労働大臣の登録を受けた民間機関が実施できるようにする点にあります。
改正のポイント: 安衛法第38条等の規定が改正され、製造時等検査等について「都道府県労働局長又は登録製造時等検査機関」が行うこととされます。
これにより、特定機械のライフサイクル全体を通じて、民間登録機関による一貫した検査サービスの提供が可能になります。
改正前後の検査体制の比較
| 検査の種類 | 改正前の実施者 | 改正後の実施者 |
|---|---|---|
| 製造時等検査 | 都道府県労働局長 | 都道府県労働局長 又は 登録製造時等検査機関 |
| 設置時等検査(落成検査) | 労働基準監督署長 | 労働基準監督署長 又は 登録製造時等検査機関 |
| 変更検査 | 労働基準監督署長 | 労働基準監督署長 又は 登録製造時等検査機関 |
| 性能検査(定期検査) | 登録性能検査機関 | 登録性能検査機関(変更なし) |
上記のとおり、性能検査については従来から民間機関が実施していたため変更はありません。今回の改正は、行政のみが担ってきた製造時・設置時・変更時の検査に民間参入を認めるという点で大きな制度転換です。
施行時期
この改正は2026年4月1日施行と規定されています。ただし、登録機関の審査・登録手続きや省令の整備を踏まえると、実際に民間登録機関による検査が開始されるのは施行後しばらく経過してからになる可能性もあります。
改正の背景と目的
検査需要の増加
改正の背景には、特定機械の検査需要が年々増加している現状があります。
厚生労働省の資料によると、ボイラーや圧力容器の設置台数は依然として多く、また建設需要の拡大に伴いクレーンの新規設置件数も増加傾向にあります。大規模な再開発事業やインフラ老朽化に伴う更新工事が各地で進行しており、特定機械の検査件数は右肩上がりの状況です。
特に、2020年代後半は大阪万博関連工事やリニア中央新幹線工事といった大規模プロジェクトが重なり、クレーンをはじめとする特定機械の検査需要がピークを迎えると予測されています。
行政リソースの限界
一方で、検査を担当する行政側のリソースは限られています。都道府県労働局や労働基準監督署の検査官(ボイラー検査官・クレーン検査官等)の定員は長年ほぼ横ばいで、検査需要の増加に対応しきれなくなっているのが実情です。
この結果として、以下のような問題が生じていました。
- 検査の待ち時間の長期化: 申請から検査実施まで数週間〜数か月を要するケースがある
- 事業者の工期への影響: 検査日程が固定的で、事業者側のスケジュールに合わせにくい
- 地域間格差: 検査官の配置状況により、地域によって待ち時間に差がある
規制改革の流れ
今回の改正は、政府全体の規制改革推進の方針とも合致しています。内閣府の規制改革推進会議では、安全性を確保しつつ民間活力を活用する方向性が繰り返し提言されてきました。
すでに性能検査(定期検査)で民間登録機関の活用実績が蓄積されており、安全性を維持しながら民間機関が適切に検査を実施できることが実証されていたことも、今回の改正を後押ししました。
登録機関の要件と安全性の担保
登録製造時等検査機関の要件
民間機関が登録製造時等検査機関として登録を受けるためには、厚生労働大臣が定める厳格な要件を満たす必要があります。既存の登録性能検査機関の制度を参考にすると、以下のような要件が求められると考えられます。
人的要件
- 検査に必要な知識・経験を有する検査員を十分な数確保していること
- 検査員は、ボイラー技士やクレーンの専門資格等の資格要件を満たすこと
- 検査の公正性・中立性を確保するための組織体制が整備されていること
設備・技術的要件
- 検査に必要な計測機器・検査設備を保有していること
- 検査の手順・判定基準を定めた検査業務規程が整備されていること
- 検査記録の適切な保存・管理体制があること
財務的要件
- 検査業務を安定的に継続できる財務基盤を有すること
- 賠償責任保険等の加入により、万が一の事故に対応できること
安全性を担保するための措置
民間機関に検査を委ねることで安全性が低下するのではないかという懸念は当然あります。この点について、改正法では以下のような安全性担保措置が講じられています。
厚生労働大臣による監督
- 登録機関に対する定期的な監査・報告徴収の権限が規定されています
- 登録の要件を満たさなくなった場合は、登録の取消しが可能です
- 検査業務の適切な運営を確保するための業務改善命令を発出できます
検査基準の統一
- 検査の判定基準は行政が実施する場合と同一の技術基準が適用されます
- 登録機関が独自の基準で検査を行うことは認められません
利害関係の排除
- 検査対象の特定機械の製造者や使用者と利害関係のある機関は、登録が認められない仕組みとなっています
- 検査の公正性・中立性を制度的に担保しています
事業者にとってのメリット
検査日程の柔軟化
事業者にとって最も実感しやすいメリットは、検査スケジュールの柔軟化です。
従来は行政機関の検査日程に合わせる必要があり、特に繁忙期には検査待ちの期間が長引くことがありました。民間登録機関の参入により、事業者のスケジュールに合わせた検査日程の調整が容易になることが期待されます。
具体的には、以下のような改善が見込まれます。
- 工事の工程に合わせた検査日の設定が可能に
- 休日や早朝・夜間の検査にも柔軟に対応できる可能性
- 検査申請から実施までのリードタイムの短縮
検査の選択肢の拡大
複数の登録機関が参入すれば、事業者は自社のニーズに合った検査機関を選択できるようになります。
- 地理的な近さで選ぶ(出張費の削減)
- 対応の迅速さで選ぶ(納期重視)
- 特定の機械種類に強い機関を選ぶ(専門性重視)
ただし、性能検査機関の実績を踏まえると、登録機関の数は限られる可能性もあり、すべての地域で即座に選択肢が広がるとは限りません。事業者は地域ごとの登録機関の状況を確認しておく必要があります。
立ち仕事の現場への波及効果
特定機械の検査制度は、立ち仕事の現場にも深く関わっています。製造業の工場ではボイラーやクレーンが日常的に使用されており、これらの検査のために生産ラインを停止する必要が生じることもあります。
検査日程の柔軟化により、生産スケジュールへの影響を最小限に抑えることが可能になります。これは、立ち仕事に従事する現場の作業者にとっても、急な予定変更による負担の軽減につながると考えられます。
事業者に求められる対応
今後の準備事項
2026年4月の施行に向けて、特定機械を保有・使用する事業者は以下の対応を進めておくことが推奨されます。
- [ ] 自社が保有・使用する特定機械の一覧と検査時期を整理する
- [ ] 現在の検査体制(行政検査・性能検査機関の利用状況)を確認する
- [ ] 登録製造時等検査機関の登録状況を定期的にチェックする(厚生労働省ホームページ等で公表予定)
- [ ] 新設・変更予定の特定機械がある場合、検査機関の選択肢を事前に調査する
- [ ] 検査費用の予算計画を見直す(民間機関の料金体系は行政検査と異なる可能性がある)
注意すべき点
民間登録機関による検査が可能になっても、検査義務そのものがなくなるわけではありません。特定機械の製造時等検査・設置時等検査・変更検査は引き続き法的義務であり、これを怠った場合の罰則規定も従来どおり適用されます。
安衛法第38条等に基づく検査義務に違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
よくある質問
Q: 民間登録機関に検査を依頼した場合、費用は増えますか?
A: 現時点では具体的な料金体系は公表されていません。性能検査機関の例を参考にすると、行政の検査手数料と比較して大きく異なることは少ないと考えられますが、出張費や検査日程の指定によって追加費用が発生する場合もあります。複数の機関を比較検討することをおすすめします。
Q: 従来どおり労働局や監督署で検査を受けることはできますか?
A: はい、可能です。今回の改正は民間機関を「追加する」ものであり、行政による検査がなくなるわけではありません。事業者は行政機関と登録機関のいずれかを選択して検査を受けることができます。
Q: 性能検査(定期検査)を受けている既存の登録機関が、そのまま製造時等検査も実施するのですか?
A: 必ずしもそうとは限りません。製造時等検査を実施するためには、新たに「登録製造時等検査機関」としての登録を受ける必要があります。既存の登録性能検査機関が申請するケースは多いと予想されますが、登録要件を満たすことが前提です。
まとめ
2026年の労働安全衛生法改正により、ボイラーやクレーンなどの特定機械の製造時等検査・設置時等検査・変更検査について、民間の登録機関による実施が可能になります。
この改正は、検査需要の増加と行政リソースの限界を背景として、安全性を維持しつつ検査体制を強化するための制度見直しです。事業者にとっては、検査日程の柔軟化や選択肢の拡大といったメリットが期待される一方、検査義務そのものに変更はなく、引き続き適切な検査の実施が求められます。
特定機械を保有・使用する事業者は、登録機関の情報収集を早めに始め、自社の検査スケジュールや予算計画に反映させる準備を進めておくことが重要です。安全な職場環境の維持は、立ち仕事を含むすべての現場で働く人々の安心につながります。
参考文献
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(令和7年法律第28号)」, 2025年5月14日公布. https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省, 「労働安全衛生法」(昭和47年法律第57号), 第37条〜第54条の2(特定機械等に関する規定). https://elaws.e-gov.go.jp/
- 厚生労働省, 「ボイラー及び圧力容器安全規則」. https://elaws.e-gov.go.jp/
- 厚生労働省, 「クレーン等安全規則」. https://elaws.e-gov.go.jp/
- 内閣府規制改革推進会議, 「規制改革推進に関する答申」, 2024年. https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/
- 厚生労働省, 「登録性能検査機関一覧」. https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省労働基準局, 「令和7年 労働安全衛生法改正の概要」, 2025年. https://www.mhlw.go.jp/

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