【3人に1人が健康問題を抱えながら仕事してる!?】日本人の生産性を蝕む”プレゼンティーズム”とは?昭和医科大学による1万人調査

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業務中の不調がもたらす「見えない損失」

「プレゼンティーズム(Presenteeism)」という言葉をご存知でしょうか?これは、出勤しているものの、健康上の問題によって十分なパフォーマンスが発揮できない状態を指します。外からは分かりづらいため、企業にとって見落とされがちですが、実は大きな生産性の損失をもたらす要因となっています。

2025年4月に発表された最新の研究(Yoshimotoら, 2025)では、日本の働く人々におけるプレゼンティーズムの実態と、その経済的インパクトが詳細に分析されました。この研究は、ポストコロナ時代の新たな働き方や健康課題に対する洞察を与えてくれます。

大規模調査で明らかになったプレゼンティーズムの実態

10,000人の日本人労働者を対象とした調査

調査は2023年2月から3月にかけて、全国の20〜69歳の労働者1万人を対象にインターネット経由で実施されました。パートや派遣、フリーランスを含む幅広い雇用形態の人々が参加しており、日本の就業者の年齢・性別分布に基づいてサンプルが抽出されました。

回答者のうち、約35.6%が「過去4週間に、仕事に支障をきたす健康問題を経験した」と回答しています。つまり、およそ3人に1人が、健康問題によって業務効率が低下していたという結果です。

プレゼンティーズムを引き起こす主な健康問題

調査では14種類の健康問題について質問が行われ、そのうち仕事への支障が最も大きいと感じたものを一つ選んでもらいました。結果、最も多く挙げられたのは以下の症状でした:

  • 腰痛(Low back pain):6.7%の労働者が「最も仕事に影響した」と回答。
  • 首こり・肩こり(Neck pain or stiff shoulders):4.8%
  • 精神疾患(Mental illnesses):2.9%
  • 頭痛(Headaches)目の疲れ(Eye problems)、**睡眠障害(Sleep-related problems)**も続きます。

また、症状によるパフォーマンス低下(プレゼンティーズムスコア)は、感染症、精神疾患、頭痛などで特に高く、精神的・神経的な問題がパフォーマンスに強い影響を及ぼすことが分かりました。

長時間の座り作業による健康リスク

年齢別の傾向

年齢別に見ると、

  • 20代では「精神的な問題(例:うつ、不安障害など)」が最多。
  • 40代以降では「腰痛」「肩こり」が増加。
  • 50代以上では「関節の痛みや障害」も増えてくる傾向がありました。

このように、プレゼンティーズムの原因は年齢によって異なり、年齢に応じた健康支援が求められます。

テレワークとプレゼンティーズムの関係

コロナ以降にテレワークを導入した層では、「目の疲れ」「肩こり」「精神的な不調」が上位に。画面に向かう時間の長さや姿勢の悪さ、孤独感やコミュニケーション不足などが影響している可能性が示唆されました。

疲れには生理的疲労、病的疲労、精神的疲労など種類があります。

プレゼンティーズムによる経済的損失:見えないコストの可視化

研究では、プレゼンティーズムによる生産性損失を、実際の年収や労働日数から金額に換算するモデルを用いて推計しています。その結果、1,000人あたりの年間損失額は以下の通りでした:

健康問題年間損失額(1000人あたり)
腰痛約488,210米ドル
首こり・肩こり約346,308米ドル
精神疾患約327,137米ドル

これは、企業が見逃しがちな「目に見えない損失」であり、実際の医療費や休職コストよりも大きいことが過去の研究でも指摘されています。

健康問題別の年間プレゼンティーズム損失額

図:健康問題別の年間プレゼンティーズム損失額(1000人あたり)

各健康問題による年間プレゼンティーズム損失額(1000人あたり)

各健康問題による年間プレゼンティーズム損失額(1000人あたり)Yoshimotoらの論文をもとに作成

この図では、特に腰痛・肩こり・精神的問題が大きな経済損失につながっていることが一目で分かります。こうした症状は慢性化しやすく、長期にわたって業務効率を下げるため、早期対策が求められます。

研究の意義と職場での対策の方向性

健康支援は福利厚生から「経営戦略」へ

本研究の意義は、プレゼンティーズムという見えにくい問題を、科学的・経済的に可視化した点にあります。企業が従業員の健康管理に投資することは、単なる福利厚生ではなく、労働生産性の向上=業績への投資と捉えるべきでしょう。

対策の方向性

  • 人間工学に基づいた作業環境の整備(例:腰への負担軽減装置の導入、立ち座りを切り替えられるデスクなど)
  • 年齢や働き方に応じた健康プログラムの提供
  • メンタルヘルス支援体制の強化(例:相談窓口の整備、業務負荷の見直し)
  • テレワーク環境の最適化(椅子・照明・画面位置など)

これらは、プレゼンティーズムの抑制に向けた具体的かつ実践的な方向性となります。

ポストコロナ時代の職場改善に向けて

プレゼンティーズムは、従業員の健康が職場でのパフォーマンスに与える影響を示す重要な指標です。特にコロナ禍以降の働き方の変化により、新たな健康課題が浮き彫りになっています。

企業は、単なる欠勤(アブセンティーズム)ではなく、出勤していても十分に働けない「見えない損失」に目を向ける必要があります。今回の研究は、その損失が具体的にどれほど大きいかを明らかにし、働き方改革や職場改善の必要性を強く訴えかけるものです。

今後は、プレゼンティーズム対策を含む職場の健康管理戦略を強化し、従業員が長く健康に働ける環境づくりがますます重要になっていくと考えられます。


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立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

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立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

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