労働安全衛生が知っておきたい熱中症対策:WBGT値に基づく作業管理

労働安全衛生が知っておきたい熱中症対策:WBGT値に基づく作業管理 - 立ち仕事のミカタ
目次

なぜWBGT値にもとづく管理が必要なのか

現場の“感覚的”暑さ対策は、湿度・輻射熱・気流を無視しがちで、熱中症のリスク評価として不十分です。実際、ISO7243や厚生労働省ガイドラインでも、これらを総合したWBGT値が推奨されており、熱中症ゼロに向けた科学的な動きが進んでいます(厚労省, 2024年)。

なお、2025年7月3日放送のTBS系列「ひるおび」では、《不快な暑さいつまで!?熱中症対策義務化で…企業独自の対策が続々》と題した特集が組まれ、WBGT値を活用した作業環境改善の取り組みが紹介される予定です。世間の関心が高まる中、数値に基づく熱中症対策がいまや“当たり前”になりつつあります。

危険度レベル別WBGT値と具体的な行動指針

ISO7243/ACGIHが定める作業強度別基準

ISOやACGIHでは、作業強度(代謝率)に応じたWBGTの限界値を以下のように定義しています(Parsons, 2006):

作業強度代謝率WBGT(順化者 / 非順化者)
軽作業<200 kcal/h30 °C / 29 °C
中程度200–300 kcal/h28 °C / 26 °C
重作業>300 kcal/h26 °C / 23 °C

なお、風速が1.5 m/s以上の場合、評価基準が2~3 °Cまで緩和されると報告されています(CDC/OHSA, 2021)。

日本の厚労省ガイドラインによる段階的対応

製造業現場に即したより詳細な指針として、厚労省マニュアルではWBGT値ごとの具体行動が定められています:

  • 軽作業(例:検品)
    • WBGT ≧30°C:作業中止、直ちに休憩または作業環境の変更
  • 中作業(包装・軽搬送)
    • WBGT ≧28°C:30分ごとに休憩、水分・塩分補給を義務化
  • 重作業(搬送・重量物)
    • WBGT ≧26°C:頻繁な休憩を実施、装備や服装・時間短縮を検討

これらは「屋外(日射あり)」と「屋内(日射なし)」でWBGT値の算出式が異なる点も含め、精密な判断を促しています。

ISO準拠による作業–休憩スケジュール設計

ISO7243・ISO7933の応用事例

科学的根拠に基づいた休憩設定が求められるなか、ISO7933では「発汗量・体温上昇」予測も可能です。例えば:

  • WBGT28°C、中強度作業
    → 作業45分、休憩15分の比率で労働が推奨されます。

さらに、着衣補正や順化効果(順化者 vs 非順化者)など、個別ファクターも考慮された上での設計が求められています。

作業現場での具体的対応策

見える化とリアルタイム共有

  • 各作業現場にWBGTセンサーを設置し、測定値をLEDディスプレイやスマホアプリで即時共有。
  • 毎朝の朝礼で「本日WBGTは○○、休憩頻度は××分ごと」と具体的に指示を伝達。

個人差・装備差への対応

  • 作業服や保護具を正確に把握し、必要な補正温度(例:長袖作業+1–2°C)を加味。
  • WBGT順化が不十分な新規・派遣・中高年層は、より厳しい条件を設定。

継続的データの分析と改善

  • 過去1年以上のWBGT・休憩頻度・発生熱中症事例を記録・解析し、データに基づく改善サイクルを構築。
  • クラウドで拠点間共有し、複数拠点に展開可能なマネージメント体制に。

実務導入の際の注意点

測定頻度と環境変化の捉え方

  • 少なくとも夏季期間中は毎日、複数時間帯(午前・昼・午後)に測定。
  • 気温以外にも風速・日射・湿度を記録し、現場環境の変化を分析。

教育と習慣化の仕組み化

  • 作業者・管理者向けの研修プログラムとクイズ形式チェックリストを導入。
  • 業務開始前や交代前にWBGT確認を日課化。

まとめ:WBGT値管理で企業の安全・生産性・信頼力が変わる

  • 熱中症事故の多くは、数値管理によって未然防止できると厚生労働省も明言。
  • WBGT値を軸とした作業–休憩スケジュールの運用で、法規制・ESG評価・採用力アップなど複数の経営価値創出が期待されます。
  • 「義務化される前」に自社ルールを作り、「数値で制御する現場」を構築することは、競争力向上にもつながります。
立ち仕事の負荷軽減ならアルケリス 工場設備・備品展に出展 工場で使われる設備、備品を集めた展示会

🏢 工場設備・備品展2025とは?


立ち姿勢の負担軽減
「スタンディングレスト」

という新発想!

スタビハーフは、長時間の立ち仕事による足や腰への負担を軽減するために開発されたスタンディングレストです。スネやヒザをやさしく支えることで体重を分散し、足裏への負荷を大幅に軽減。作業中の疲労を和らげ、快適な姿勢をサポートします。

立ち作業の負担軽減デバイス

アルケリスは立ち姿勢の負荷軽減デバイスを販売中です。職場環境に合わせて、疲労軽減ジェルマットスタビ ハーフスタビフルから選ぶことができます。立ち仕事の身体疲労を軽減し、働く人に選ばれる職場づくりをサポートします。

製品写真(スタビハーフ)

立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする前立ち仕事の椅子「スタビハーフ」に座って仕事をする様子

身体負荷を軽減する

立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

立ち姿勢では体重負荷が100%足裏に集中して、足や腰に負担がかかります。スタビハーフは体重を分散して支えるため、足裏への負荷を最大33%軽減することができます。

負荷軽減の検証データ

実証実験において、スタビハーフによる体重分散効果が示されました。

立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

スネ部のロールクッションが体重の一部を優しく支えることで、足裏の荷重が軽減していることがデータから示されました。

スタビハーフの負荷軽減効果検証実験の様子。立ち姿勢とスタビハーフ使用時における体にかかる荷重を、圧力分布センサを用いて計測したところ、スタビハーフの使用により足裏の荷重が最大30%程度軽減することが明らかになりました。

関連記事

立ち仕事のミカタ_banner
Click to Share!
目次