WBGT値とは?労働安全衛生担当が知っておきたい、その意味と定義

WBGT値とは?労働安全衛生担当が知っておきたい、その意味と定義 - 立ち仕事のミカタ
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暑さ対策の鍵を握る「WBGT値」

夏の職場における安全対策として、近年特に注目されているのが「WBGT値(湿球黒球温度)」の管理です。熱中症対策の指標として、建設業や製造業を中心に幅広く導入が進んでおり、法制度上のガイドラインにも記載されるほどの信頼性を持っています。

では、そもそもWBGT値とは何なのか?なぜ単なる気温では不十分なのか?ここでは、WBGT値の意味・定義・測定方法を体系的に解説し、現場での活用ポイントを整理します。

WBGTとは何の略?

WBGTとは「Wet Bulb Globe Temperature」の頭文字を取ったもので、日本語では「湿球黒球温度」と訳されます。これは、単なる気温ではなく、「人が感じる暑さ=熱ストレス」を総合的に評価するための指標です。

WBGT値の基本構成

WBGT値は以下3つの要素で構成されます:

  1. 湿球温度(Wet Bulb Temperature):湿度の影響を反映。汗の蒸発のしやすさに直結。
  2. 黒球温度(Globe Temperature):輻射熱(例:太陽光、熱を発する機械)を測定。
  3. 乾球温度(Dry Bulb Temperature):いわゆる気温そのもの。

これらを独自の重みづけで合算して算出されるのがWBGT値です。

なぜ気温だけでは不十分なのか?

一般的な温度計で測定される「気温」は、熱中症リスクを十分に表すものではありません。たとえば、同じ35℃でも、湿度が高く風がない日と、湿度が低く風がある日とでは、体感的な暑さや身体への負荷が大きく異なります。

WBGT値は、こうした「気温以外の要因」も含めて評価できるため、より正確に熱中症の危険度を把握できるのが特徴です。特に湿度が高く、風が通りにくい工場や倉庫では、WBGT値による管理が効果的です。

屋内・屋外でのWBGTの算出方法

屋外で直射日光がある場合

WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

屋内や日陰の場合

WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

このように、環境に応じて算出方法が異なります。日本産業衛生学会の指針では、この2パターンを現場に応じて使い分けることが推奨されています。

WBGT値の危険レベルと管理基準

厚生労働省の「職場における熱中症予防対策マニュアル」では、WBGT値の危険レベルに応じて作業制限や休憩の基準が示されています。

WBGT値危険レベル管理の目安
25℃未満注意通常作業可能
25〜28℃警戒こまめな休憩と水分補給
28〜31℃厳重警戒作業時間短縮・積極的な休憩
31℃以上危険作業中止の検討

このように、数値に基づいてリスクレベルを把握し、対応を明確にできるのがWBGT値の大きなメリットです。

簡易なWBGT値の計測方法:現場での始め方

専門機器がなくても始められるWBGT管理

WBGT値と聞くと、専門的な測定機器や大掛かりな装置が必要だと思われがちですが、実は市販の「熱中症指数計」や「簡易WBGT測定器」を使えば、誰でも手軽にWBGT値を把握できます。最近では、温湿度センサーと黒球を一体化したコンパクトなデバイスが多数登場しており、製造現場や建設現場などでの導入が進んでいます。

計測の基本:置き場所と時間帯に注意

簡易な計測機器であっても、設置場所や時間帯によって測定結果は大きく変わります。以下の点に注意することで、より正確なWBGT値を得ることができます。

  • 作業員が実際に作業している高さ(おおよそ1.1〜1.2m)に設置する
  • 直射日光や送風が直接当たらない位置を選ぶ(屋内なら中央部)
  • 日中の暑さがピークとなる時間帯(午後1時〜3時)に重点的に測定する

また、屋内と屋外でWBGT値の計算方法が異なるため、測定モードの切り替えや、測定条件の記録を忘れずに行うことも重要です。

継続的な記録と「見える化」がカギ

測定したWBGT値は、その場限りではなく、継続的に記録・管理することで、職場全体の安全管理に活かすことができます。たとえば:

  • デジタル掲示板やホワイトボードに当日のWBGT値を記載する
  • 作業開始前の朝礼で「WBGT値が○○なので、今日は○分ごとに休憩」などと共有する
  • 週間単位でWBGTの変化をグラフ化し、対策の効果を見える化する

このように、簡易な測定からでも始められるWBGT管理は、作業者の意識を高めるとともに、組織としての熱中症対策の第一歩になります。

国際的な評価と日本での普及

WBGT値は、ISO(国際標準化機構)やACGIH(アメリカ産業衛生政府会議)でも正式な評価指標として認定されており、世界各国の労働環境評価で採用されています。日本でも、厚生労働省や地方自治体がWBGT値に基づく熱中症対策を推奨しており、その信頼性は確立されています。

まとめ:現場の安全を守るために「WBGT値」を活用しよう

製造業などの暑熱環境下で働く現場において、作業者の安全とパフォーマンスを守るためには、数値に基づいた環境評価が欠かせません。WBGT値は、気温・湿度・輻射熱を総合的に評価する唯一の指標であり、熱中症リスクを「見える化」できるツールです。

熱中症ゼロを目指す第一歩として、ぜひWBGT値の正しい理解と導入を進めていきましょう。

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