そもそも立ちっぱなしはなぜ疲れるのか?

一見”何もしていない”立ち姿勢に潜む、見えない過酷さ
重い荷物を持ち上げる作業や、長距離を歩く仕事が身体に負担をかけることは、一般にもよく知られています。しかし、実はそれと同じ、もしくはそれ以上に身体にとって大きなストレスとなるのが、「長時間の立ちっぱなし」です。何も動かず、ただ立っているだけ。だから楽そうに見える——この誤解こそが、立ち仕事に従事する多くの人々の疲労を見過ごす一因となっています。
この記事では、「なぜ立ちっぱなしはこんなにも疲れるのか?」という疑問に対し、筋肉、血流、関節、人間工学の観点から徹底的に解き明かします。そして、見過ごされがちなこの負担を社会全体で再認識し、現場改善のきっかけとするための視点を提示します。
立っているだけなのに、なぜ疲れるのか?
静的筋活動の罠:休みなく働く筋肉たち
立ち続ける姿勢を保つためには、無数の筋肉がわずかに、しかし絶え間なく緊張し続けています。特に、以下の筋肉は常に働き続け、姿勢を安定させています:
- ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)
- 太もも(大腿四頭筋・ハムストリング)
- 背筋(脊柱起立筋)
- 足裏の細かな筋群
これらの筋肉は、いわば微小な力を長時間発揮し続ける「静的筋活動」を行っています。静的筋活動とは、関節を動かさずに一定の姿勢を維持するための筋肉の働きであり、筋肉内の血管を圧迫し、酸素や栄養の供給が滞るという問題を引き起こします。
その結果、筋肉内には乳酸などの疲労物質が蓄積しやすくなり、倦怠感、痛み、こりといった不調の原因となります。特に”動かない”という状態が長引くと、筋肉がポンプのように血流を促す作用も低下し、ますます疲労が抜けにくくなるのです。

図表1:立位姿勢時の筋肉の活動と負担
使用される主な筋肉 | 主な役割 | 疲労の要因 |
---|---|---|
ふくらはぎ(腓腹筋) | 姿勢の安定 | 血流の低下による疲労物質蓄積 |
大腿四頭筋 | 膝の固定 | 静的収縮による疲労蓄積 |
脊柱起立筋 | 背筋の保持 | 長時間緊張による慢性疲労 |
足裏筋群 | 体重分散とバランス保持 | 筋力の微調整による負荷 |
血流とリンパ循環の停滞による全身のだるさ
脚の筋肉は”第二の心臓”とも呼ばれ、血液やリンパ液を心臓に送り返すポンプのような役割を果たしています。しかし、立ちっぱなしで筋肉が動かない状態が続くと、このポンプ作用が低下し、血流やリンパの循環が悪化します。
- 血液のうっ滞により、下肢にむくみが生じやすくなる
- 老廃物や疲労物質の代謝が滞ることで全身がだるくなる
- 長時間の循環不良は静脈瘤や慢性的な脚の痛みの原因にもなる
といったように、単なる”だるさ”では片付けられない健康リスクが含まれています。
姿勢固定がもたらす関節と骨格へのストレス
人間の関節は、適度に動かすことで健康が保たれます。しかし、立ちっぱなしによって関節が長時間にわたって固定されると、靭帯、腱、関節軟骨などに過度な負担がかかります。
特に以下の関節に注目が必要です:
- 膝関節:膝を軽く曲げた状態で固定されがちになり、膝裏や関節内に痛みを生じることがある
- 股関節:骨盤の前傾・後傾バランスが崩れ、腰痛の原因に
- 足首・足底:体重を支えるために常に負荷がかかり、足底筋膜炎などのリスクも
また、長時間の立ち仕事により、背骨の自然なカーブが崩れ、猫背や反り腰といった姿勢の崩れを引き起こし、慢性的な腰痛・肩こりの要因ともなります。
精神的な負担との相互作用
立ちっぱなしの疲労は、身体的な負担だけにとどまりません。一定の姿勢を長時間維持しながら、集中力を必要とする業務(レジ接客、製品検品など)を行うことは、心理的なストレスも増加させます。
- 疲労によって注意力が低下し、ミスや事故のリスクが高まる
- 疲労感が蓄積すると仕事への意欲が低下する
- 長時間の同じ姿勢は、時間の流れを遅く感じさせ、精神的に消耗する
といった形で、身体の疲労と心の疲労が負のスパイラルを形成していきます。

なぜ”座るより疲れる”と感じるのか?
同じ時間、座って作業するのと立って作業するのとでは、エネルギー消費量に明らかな違いがあります。研究によると、立位でのエネルギー消費は座位よりも最大で20%程度多いとされており、基礎代謝の面でも負担は大きくなります。
さらに、座ることで筋肉を休めたり体重を分散させたりできるのに対し、立ち姿勢ではそれができず、一定の部位に過剰な負荷が集中します。この構造的な違いこそが、「何もしていないのに疲れる」という感覚の正体です。

疲労を可視化し、現場改善につなげる
立ちっぱなしによる疲労は、肉体的・精神的な複合ストレスであるという理解が重要です。そして、その負担は見えにくいため、管理者側が十分に把握できていないことも少なくありません。
改善に向けたアプローチ例:
- アクティブレストの導入:短時間でも動きを取り入れる休憩(足踏み、屈伸など)
- 立位・座位の交替:作業台の高さ調整や椅子の導入などによって、姿勢を変えやすくする
- サポート器具の活用:下肢支持ツール、クッション性マット、着座補助機器など
- 作業配置の工夫:立ち姿勢が不要な作業は可能な限り座位で行う
こうした施策を通じて、疲労軽減はもちろん、集中力や作業精度の向上、人材の定着にも寄与すると考えられます。
まとめ:もっと知られるべき「立ちっぱなしの負担」
重作業や長距離移動といった目に見える労働の負荷とは異なり、立ちっぱなしの疲労は一見わかりにくく、軽視されがちです。しかし、筋肉、血流、関節、心理と多方面にわたって生じるストレスは無視できるものではありません。
働き方改革や安全衛生への取り組みが求められる現代において、立ち作業の環境改善は重要なテーマです。企業や現場がこの見えにくい負担を正しく認識し、具体的な対策に取り組むことが、持続可能な職場づくりの第一歩となるでしょう。
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