頭上のねじ締め作業が圧倒的にツラい!ねじ締め作業の身体負荷を科学的データから読み解く最新研究

はじめに:作業台の「高さ」は思った以上に重要です
製造業の現場で日々繰り返される「ねじ締め作業」。シンプルな作業に見えますが、その快適さや効率、生産性に大きな影響を与えるのが、作業を行う“高さ”です。
「肩が疲れやすい」「首が痛くなる」「腰が張る」などの声が現場で頻繁に聞かれる一方で、それらが作業面の高さに起因することに気づいている人は意外と少ないかもしれません。しかし、高さが合っていない作業は、単なる不快感を超え、慢性的な筋骨格系疾患や集中力の低下、ひいては作業ミスや離職の原因にもなり得ます。
今回紹介するのは、東京都市大学の研究チームが行った「ねじ締め作業時の作業面高さが身体的負担に与える影響」を科学的に検証した実験です。専門的な装置を用いて得られたデータとともに、「なぜ高さが大切なのか」「どの高さが望ましいのか」をわかりやすく解説します。
研究概要:ねじ締め作業を4つの高さで比較
この研究は、ねじ締めという製造現場で代表的な作業を対象に、作業面の高さが身体に与える影響を定量的に分析したものです。
実験条件
被験者に対し、以下の4つの高さでねじ締め作業を実施してもらい、身体への負担を多角的に評価しました:
- 腰の高さ(肘より下)
- 目の高さ(肩より上)
- 斜め上方向(頭と肩の中間)
- 頭上(顔より上で腕を上げた状態)
評価方法
- 筋電図(EMG):筋肉の電気的活動を測定する装置。疲労や負担の度合いが数値でわかる。
- 関節トルクの測定:関節にかかる負荷を計測。
- 主観的評価:作業者自身が感じる疲労度や作業のしやすさをスコア化(VASスコア)。
主な結果と解釈:高さが筋肉と気持ちに与える影響
筋肉の活動(EMG)に明確な違いが!
- 頭上での作業では、首や肩の筋肉が最も強く活動し、明らかな過負荷状態。
- 目線の高さでも、肩や前腕の筋緊張が高く、特に細かな操作を長時間行うと負担が蓄積しやすい。
- 一方で、腰の高さや斜め上の高さでは、筋肉活動が抑えられ、比較的楽に作業が行えることがわかりました。
主観的負担感にも一貫性(具体的数値を含む)
- 「肩」のVASスコアは頭上作業で約85、腰高作業で約30と、約65%の軽減が確認されました。
- 「首」のスコアも頭上で約80、腰高で約35と約56%の負担軽減。
- 「作業のしにくさ」のスコア(図2)は、頭上で約90、腰高で約25と、約72%の軽減となっています。
これらのデータは、作業面の高さが負担感に大きく影響することを明確に裏付けています。
作業効率への影響
- 疲労感が強まると、作業ペースが落ち、ミスが増えるリスクも。
- 作業台の高さを調整することで、作業者の集中力が持続しやすくなり、品質向上にもつながると考えられます。
現場に活かす:すぐに取り組める改善アイデア
可変式の作業台を導入する
- 作業者の身長や作業内容に合わせて、最適な高さに調整できる作業台は理想的。
- 既製品ではなく「高さ調整機能付きの天板」を後付けする形も効果的です。
作業の種類ごとに高さを変える
- 力を使う作業:やや低め(安定性重視)
- 精密作業:肘〜胸の高さ(視認性・姿勢の自然さを確保)
- 頭上作業は避けるか、最小限に抑える
小さな改善でも大きな効果に
- 台の下に台座や台輪を追加して高さを上げる
- マットで作業者の立ち位置を調整する
- 足台や踏み台を併用してポジションを微調整する
応用事例:他業種にも広がる知見
この研究結果は、ねじ締め作業に限らず、さまざまな立ち作業に応用可能です。
- 飲食業(厨房作業):調理台が低すぎると前傾姿勢が続き、腰痛に。
- 検査・検品作業:目線より高い位置に製品があると、肩や首への負担が蓄積。
- 介護現場:立ち作業が続く入浴・清掃・調理支援などの業務にも共通する課題です。
今後の展望:デジタル技術との連携で最適化へ
この研究は、センサー技術やAIとの連携によって、さらに進化が期待されています。
- ウェアラブルセンサー:姿勢の崩れや筋肉の過負荷をリアルタイムで検出
- 姿勢解析システム:作業時の負担を可視化し、改善点を提案
- 個別最適化プログラム:身長・筋力・作業履歴に基づいて最適な高さを自動設定
こうした技術が実用化されれば、「誰にとっても最適な作業環境」が実現可能になります。
まとめ:作業台の高さは「見直す価値のある投資」
作業台の高さが筋肉の負担や作業効率に与える影響は、想像以上に大きいものです。東京都市大学の研究は、その事実をデータで示してくれました。
すぐに大規模な設備投資をするのが難しい場合でも、足元の改善や高さ調整アイテムの導入といった“小さな一歩”から始めてみることが、長期的な労働環境改善に繋がります。
まずは、「この高さで本当に作業しやすいか?」を考えるところから始めてみませんか?

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項目 | 内容 |
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